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〜運命〜 4 ページ14

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俺は、テーブルから動かず、恐らく一番不安に思っているであろう疑念に対しての答えを言ってみた。


「なぁに、吸い尽くしたりはしねぇよ。ちょっと舐める程度だからよ?」
「あ……そうですか……」


……あ、こいつ一瞬ホッとした。
図星だったか。

それでも彼女はおろおろしながら

「私なんか、美味しくない、ですよ?」

また一歩後退る。
『血を吸われる』って事が急に現実味を増したか。

俺が立ち上がるとビクリと肩を震わせ、一歩踏み出せばキョロキョロ逃げ道を探す。
俺の一挙手一投足に落ち着きがなくなってきた。

「ここ、お前んちだろ?何、逃げ場探してんだよ?」
「あ、いや、なんか急に……」
「怖くなった?」
「いや、そうじゃ、なくて」




「緊張……してきました……」
「くくっ!」



ホントこいつ、面白れぇやつ。


じわじわ距離を詰めるとAの背後をドアが立ちはだかる。
ハッとして視線だけでそれを確認すると、ドアから離れるようにするすると右に逃げようとする。
寝室であることは匂いでわかってる。
俺を中に入れたくないか、他の逃げ道でも探しているのか。
Aの顔の横に手を伸ばし、ドアに突いて逃げ道を塞いだ。


驚いて目を見開いたまま俺を見るA。
もうその視線をどこにも逃がさない。

舐めるようにじっくりとブラウンの瞳を、淡いピンクの唇を、白い首を見つめ、左の頬をそろりと撫でる。
ピクッと僅かに身を震わせ、それでも戸惑う目は俺をしっかりと見つめ返したまま。

「そんなに固くなるなよ。痛くしねぇから」
「い、痛く……しない?ホントに?」
「フッ……その返答、頂いていいって受けとるけど?」

早くちゃんと答えくれよ。
お前のこの誘う香りにこっちはもう我慢の限界なんだから。




さっきの甘い味……もっと俺にくれよ。



「肯定なら目を瞑れ。否定なら俺をひっぱたけ」



Aの喉がごくっと動いた。
目を閉じるとふわっと唇が開く。


「お……恩人をひっぱたくなんて、できません……」


閉じられた瞼が緊張で震えている。




「……馬鹿だな」




さっきは俺を恩人だなんて思わないって宣言してたのによ。


その恩人に迫られてんのに。甘いんだよ、お前は。

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作品ジャンル:恋愛
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あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます!ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです!あぁっ!心臓大丈夫ですかっ?!男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます! ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが!ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです!! (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あがしおん | 作成日時:2019年6月5日 21時

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