愛しのJasmine

〜利器〜　７ ページ50

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妊娠、出産は母体にとんでもなく負担がかかる。
ましてや身体が弱いAにとってそれは、日々命を削るようなものだ。

ヒョンに短命を悟られた以上、それに関しては目を瞑ってもらうより他ない。

次の機会に子供を作れたら、それでいい。
だからその事は考えず、Aだけを見ていたかった。



「A、いい？」
「はぁ……はぁ……うん、いい、よ」

座位で向かい合って俺に身を委ね、達したばかりでまだ余韻に震える、陶器のような白い首筋に牙を立て、溢れる蜜を飲んだ。

相変わらず甘くて爽やかな味が喉を通り、花のように甘くて軽やかな香りが鼻に抜ける。
薬の効果で多少、ワインの渋味のような味が混ざっているが、このくらいは許容範囲だな。


「やっぱ美味いよな、お前」
「んっ……そうやって誉められるの、やっぱり慣れな……やだ、ちょっとっ！」
「あ、仕方ねぇだろ？頂いたら元気になるんだし？はい、じゃもう一回」
「……ユンギのバカ」



馬鹿と言われようが、この一瞬すら惜しいんだ。



離れたくないんだ。消えてほしくないんだ。



叶うなら、もっと長く傍にいてほしいんだ。



お前の命の期限を知っているからこそ、お前だけを愛していたいんだ。





「A、愛してる……」




だから刻み込むように、俺という鎖でその命をその身に繋いでおくように、Aの中で何度も高みに登りつめる。




　





　





Aが心の奥底で本当は何を思っていたのなんて、考えもせず。





〜利器〜

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