愛しのJasmine

〜新居〜　１ ページ37

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郊外の空気のいい場所に構えた新居がもうじき完成する。

俺達が二人で始める生活の場。
会社からは少し離れたが、そんな不便さは二の次。
Aが一目惚れしたこの場所なら、身体の弱い彼女でもストレスなく過ごせそうだと、Aの気が変わらないうちに即決した。

ヒョンの屋敷みたいにデカいのにしようと言ったら、掃除が大変だから狭くていいってあっさり却下されたな。



実はAに結構ギリギリまで、Aの父親が遺した家を出る事を渋り続けられていた。

そこで残す代わりに、ハーブの栽培と製品作りの手伝いをしてくれる者に家を貸し、管理してもらうことでなんとか納得してもらえた、という経緯がある。

人に貸すにあたって一番大変だったのは、手続きよりも、二階の物置状態の部屋の原状回復だったのは言うまでもないが。


「ユンギが仕事に行く時に、私も一緒にこの家に戻ってポプリ作りするの！」

Aの好きなものへの情熱は変わらない。

「それより、家が出来たらする事あんだからな？」
「はいはい！分かってる！結婚式でしょ？」
「……まあ、似たようなもんだけど」

会社の連中には結婚式しないから呼べないと詫びを入れたら、『うちの社長はそんなに貧乏だったんですか』と同情にも似た揶揄いに遭った挙げ句、会社のミーティングルームを披露宴会場にされ、Aまで呼び出され、そこで盛大に祝われた。

あいつらはただ、酒が飲みたかっただけだろうが、そこは大人しく感謝しておくよ？



　

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