〜運命〜 6 ページ16
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「いや、ホント。俺、結構グルメだし」
「血を飲む人がグルメって……あ、」
Aが急に何かに気づいたように、俺をじっと見入る。
「また目が……赤い」
「あぁ、血を飲むときも赤くなる」
見つめていたAが俺の目元を指でなぞりながら、
「綺麗……宝石みたい」
ふわりと微笑んだ。
久しぶりに感じる胸の高鳴り。遙か昔に経験したであろう切ない苦しさを呼び起こす。
「それ、勘違いするから……」
「えっ……?」
「そういうの。男を勘違いさせる」
「私はただそう思っただけで、深い意味は……」
分かってる。
この短時間でAを見てきた限り、こいつは素直で正直すぎる。まるで汚れを知らない子供だ。
それでも。
「面と向かってあんまりストレートにそういうこと言うな」
「わ、わかりました……」
そういうことは、他の男に言わないで欲しい。
出来るなら、俺だけに。
そう思ってしまうのは……思ってしまったのは。
「でも、私はユンギのその赤い目、好きよ」
「……っ」
だから、その『好き』はどっちの好きなんだよ?
今の自分の状況、もっと良く考えてみろよ?
男に押し倒されて、胸元はだけさせて言うことじゃねぇだろ?
それにこっちはギリギリでどうにか踏み留まってるんだぞ?
「ユンギ、」
「……なに?」
「一目惚れって信じる方?」
「……さあな」
「私は……結構信じる方」
「……ふーん」
お前の一言次第で簡単に落ちるんだからな?
「……で?」
「私……『ただのユンギ』を好きになったかも」
お前のその一言で簡単に襲えるんだからな?
「あのなあ?お前、このまま俺に襲われても文句言えねぇんだぞ?」
俺を見つめる瞳が揺れる。
ふわっと微笑んで俺の視線を捕まえた。
「ユンギになら文句なんて言わない。
私も大人よ?そんなこと言って、これから自分がどうなるか、分からないわけじゃない」
お前の一言が俺の理性を簡単に崩すんだからな?
「やっぱお前、馬鹿だな」
俺が肘を折るとすぐさま距離を失い、互いの鼻先が触れる。
「いいのか?……俺は優しくなんて出来ないからな」
言葉はなく、頷くのみ。
「──お前の夜を、俺にくれるか?」
Aがそっと目を瞑る。
覚えてたのか。あの言葉。
【肯定なら目を瞑れ。】
タガが外れた俺は、そのまま唇をいくつも降らせた。
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あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます!ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです!あぁっ!心臓大丈夫ですかっ?!男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます! ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが!ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです!! (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あがしおん | 作成日時:2019年6月5日 21時