9年間の想い ページ10
ゾロの寝息が、かすかに音を立て始めた。
一方、くいなのことを思い出した私の目はすっかり冴えてしまっている。
再び考えを巡らす。
最初にドアのところで手首を掴まれた以外、本当にゾロは私に指一本触れようとしてこなかった。
ラブホという密室で2人きりであるにもかかわらず。
そもそも、あのゾロがデリヘルを呼んだんだと考えると、ちょっと不思議な感覚になる。
いや、「剣一筋！ 硬派！！」みたいな人でも、男性は男性なのだ。
こんな仕事をしていると、嫌でも理解できる。多かれ少なかれ、ほとんどの男性に
そしてその欲は、理性で隠すことはできても、本能で湧いてきてしまうものだということを。
ゾロは適当にそこらへんの女の子をナンパするような柄でもないし、きっと、お金を払うことでその欲とうまく付き合っているのだと思う。
そう考えれば、デリヘルを利用していてもなにもおかしくはないけれど、剣の腕が立ち、綺麗な目鼻立ちのゾロならば彼女がいてもいいはずだと思った。
それに、男性がデリヘルを呼ぶときは、やはりそれなりに
溜まりきった欲を発散しようとしていたところに、幼なじみが来て、ただ話をして別々に寝る羽目になった。
ゾロはそれで平気なんだろうか。
それとも。
デリ嬢が私だったから、萎えた、とか。
ひとつ確実なことは、ゾロのことはもう諦めた方がいいということ。
今日まで9年間、ゾロのことを一途に想い続けてきた。
必ずいつかまた会える。いつか結ばれる。何の根拠もなくても、心のどこかでそんなことを考えていたような気がする。
けれども、デリ嬢をやっていることを知られてしまった今、ゾロと結ばれる未来は絶望的だ。
幼なじみとはいえ、わざわざ好き好んでデリ嬢の彼氏になんてなりたがる人なんているわけがない。
世界一の剣豪を目指している人と、高級店で働いているわけでもなく売れっ子なわけでもない普通のデリ嬢だなんてとても釣り合わない。
私がこの仕事を続けているのは父の命が懸かっているからであって、どんなにゾロのことが好きでも、この仕事は絶対に辞められない。
諦めなければならない運命なのだと思う。
数回の深呼吸をして、目を閉じた。
意識はだんだんと遠のいて、ようやく眠りに就いた。
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miku(プロフ) - 桜さん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！最近はなかなか執筆できていないのですが、今でもこうしてコメントをいただけるとまた時間のあるときに書いてみようかなという気になれます😭🫶🏻 (2022年11月14日 17時) (
レス) id: 761cc2fde5 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっても、素敵な作品でした。 これからも頑張ってください！ (2022年11月12日 22時) (レス) @page33 id: a028b5c607 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» アニメ全然観てないんですよ、、ワンピ以外のジャンプ作品だったら銀魂と鬼滅くらいです (2021年9月8日 13時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月8日 7時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» 最初のコメントでこんな嬉しいお言葉をいただけるなんて！高評価までありがとうございます！！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku | 作成日時：2021年9月4日 1時
