120分 ページ4
「120分、3万ベリー頂戴してもよろしいでしょうか？」
あえて事務的なやり取りをすることで、平静を保とうとする。
ポケットの中から無造作に取り出した3万ベリーが差し出された。
「ありがとうございます」
お辞儀をしながら、両手でお札を受け取った。
それから、鞄の中から電伝虫を取り出して店に連絡を入れる。
「もしもし、リボンです。お疲れ様です。120分です」
「お疲れ様。はーい。じゃ、がんばってね」
店で働くスタッフの男性といつも通りのやり取りを交わし、電伝虫を鞄に仕舞う。
ゾロはそんな風に慣れた手つきでデリ嬢のルーティンをこなす様子をどう思っていたのか、ただ無言で私を見つめるだけだった。
ヒールを脱ぎ、部屋のスリッパに履き替える。
「じゃあ私、お湯を貯め──」
普段ならお湯を貯めて、お客様と軽く雑談したあと一緒にお風呂に入るのだ。
つい、いつもの癖でお風呂の準備をしようとしてしまって、慌てて口を噤んだ。
恥ずかしさで顔が熱くなるのがわかった。
部屋の奥に入っていくゾロ。冷蔵庫が開き、栓抜きで瓶の蓋が開けられる音が背後から聞こえてきた。
私は荷物置きに鞄を置いて、ピンク色でハート型のキッチンタイマーを120分にセットした。
ラグジュアリーでどことなくいかがわしい雰囲気が漂う部屋を見渡す。
窓ひとつない黒い壁に、キラキラとしたシャンデリア、ベッド近くでぼんやりと光を放つ間接照明。
サテン生地のふかふかそうなベッドはキングサイズだ。
部屋の真ん中にはガラス製の細長いテーブルがあり、そのテーブルの手前には軽く5人くらいは座れそうな黒いレザーのソファーが置いてあった。
どこに行けばいいか少し戸惑ったあと、黒いソファーの端の方に座ることにした。
左手にビール瓶を持っていたゾロは、ソファーにくっつけて置いてあったオットマンの位置を片手でひょいっとずらし、テーブルの向こう側に移動させた。
移動させたオットマンの上にどかりと座り、私とゾロはテーブルを挟んで向かい合うような形になった。
ゾロがビール瓶を直接口へ運ぶ。太い首から浮き出た喉仏が、ビールの流れとともに上下する。
豪快にビールを半分ほど一気飲みしたあと、ビール瓶は少し音を立ててテーブルの上に置かれた。
「単刀直入に聞くが、A。9年前、どうしてお前は突然姿を消したんだ？」
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miku(プロフ) - 桜さん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！最近はなかなか執筆できていないのですが、今でもこうしてコメントをいただけるとまた時間のあるときに書いてみようかなという気になれます😭🫶🏻 (2022年11月14日 17時) (
レス) id: 761cc2fde5 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっても、素敵な作品でした。 これからも頑張ってください！ (2022年11月12日 22時) (レス) @page33 id: a028b5c607 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» アニメ全然観てないんですよ、、ワンピ以外のジャンプ作品だったら銀魂と鬼滅くらいです (2021年9月8日 13時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月8日 7時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» 最初のコメントでこんな嬉しいお言葉をいただけるなんて！高評価までありがとうございます！！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku | 作成日時：2021年9月4日 1時
