1つの弱み ページ27
私がジョウに見せつけている映像電伝虫は、引き出しの中に入れられていた、データが入っていないほうの電伝虫だ。
「ジョウさん、音だけですけど、さっきの一部始終はこれで記録できてますよ」
ジョウが眉をひそめる。
「闇取引のことも、世界政府との繋がりについて話してた部分も、全部記録してました」
そう言って、私とジョウの間で交わされた先程の会話を頭の中で反芻する。
──“おれがどういう奴か忘れたかな？”
“世界政府と繋がりがある、海賊兼マフィアみたいな組織の幹部。ここ一帯の
“よくわかってんじゃないか”
“しかも、自分の部下がやられたからって個人的な理由で世界政府とのコネを使って、何も悪くない
“その通り。そして、おれの手にかかれば、あんただって潰せるさ”
ジョウもその会話を思い出したようで、乱れた長い髪から覗く目は、大きく見開かれていた。
「世界政府は絶対的な権力を持ってますけど、このデータを新聞社にでもリークして世に流せば、世界政府に対する信頼はガタ落ちするはずです」
「となると、一般人に政府の闇を軽々しく話したおれに責任が問われることになるってわけか」
「もし今後、私たちへの復讐を図ろうものなら、すぐにこのデータをリークしますね」
「無駄に頭の利く女だ……」
「こう見えて一応、ちゃんと学校出てるんで」
一方、自分が恨まれていることやジョウが世界政府と繋がっていることなど、事情を一切知らないゾロは、ぽかんとして会話を聞いている。
「世界政府？ 一体何の話だ」
私はゾロのほうに向き直る。
「ゾロは何も知らなくていいよ。お客様のプライバシーに関わることだから言えないし言わない」
「だが、とにかく、こいつの弱みを握ったことでAの身の安全は保障されたんだな？」
ゾロが顎で指しながら問うと、ジョウは顔をしかめて立ち上がる。
そして、「リボンちゃんの完勝だよ」とだけ言い残し、夜の街へと消えていった。
波の音とともに、潮風が髪を揺らす。
「死ぬかと……思った」
「だろうな」
緊張の糸がプツンと切れた気がした。
急に視界が真っ暗になってゆく。
波の音は、耳鳴りへ変わる。
それから、だんだんと気が遠くなっていく感覚に襲われる。
世界がぐらりと歪んで、立っていられない。
私の名を呼ぶゾロの声がかすかに聞こえた気がした。
けれども、私の意識はそこで途切れた。
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miku(プロフ) - 桜さん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！最近はなかなか執筆できていないのですが、今でもこうしてコメントをいただけるとまた時間のあるときに書いてみようかなという気になれます😭🫶🏻 (2022年11月14日 17時) (
レス) id: 761cc2fde5 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっても、素敵な作品でした。 これからも頑張ってください！ (2022年11月12日 22時) (レス) @page33 id: a028b5c607 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» アニメ全然観てないんですよ、、ワンピ以外のジャンプ作品だったら銀魂と鬼滅くらいです (2021年9月8日 13時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月8日 7時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» 最初のコメントでこんな嬉しいお言葉をいただけるなんて！高評価までありがとうございます！！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku | 作成日時：2021年9月4日 1時
