2匹目の電伝虫 ページ26
鉄と鉄とがぶつかり合うけたたましい音が脳の奥まで響く。
それと同時に、ゾロたくましい腕が私の肩のあたりに回ってきたかと思うと、そのまま抱き寄せられた。
ジョウが握っていた銃は真っ二つに斬られ、半分は地面に落ちた。
あまりに一瞬の出来事で、私はゾロの腕の中でただただ凍ったように固まるだけだった。
「こんなところでロロノア・ゾロ登場か」
じろりとこちらを見たジョウは、手の中に残されて使い物にならなくなったもう半分の銃を、地面に投げ捨てた。
ゆっくりと見上げる。
そこには、今まで私には見せたことのない殺気立ったゾロの表情があった。
「A、逃げろ」
頭上に降ってくる小声。ゾロの腕が私からほんの少し離される。
私はゾロのシャツをぎゅっと握って声を絞り出した。
「ごめん、この人は斬らないで」
「あァ？ 何言ってんだ」
「お客さんだから。流血騒ぎになったらお父さんの耳にも入るかもしれない」
それを聞いたゾロは、呆れたようにため息をつきながらも「仕方ねェ」と言って私を離した。
それから、ゾロは刀の
少し顔を顰めたが、ジョウは銃なしでもそれなりに闘えるらしい。
綺麗な受け身をとり、ゾロに殴りかかってくる。
しばらくほぼ互角の闘いが続くのを、私はゾロの背後から見守る。
しかし、峰打ちでジョウの肩に刀が当たってからは、ゾロが目を見張るような身のこなしでジョウを圧倒していった。
闘うその大きな背中が、とてつもなく頼もしい。
9年も時が経てば当たり前のことなのかもしれないけれど、くいなと勝負していたころよりも格段に腕を上げているのは素人目で見ても明らかだった。
今のゾロなら鷹の目ともいい勝負になるんじゃないか、そんな可能性すら感じさせられる。
ジョウは太もものあたりを押さえながら倒れ込んだ。
「剣の腕は確かなようだが、斬りかかってこないようじゃいつまでも勝負はつかないぞ」
「A、悪ィがこいつ、斬ってもいいか？」
首だけを私の方を向けて、尋ねてくる。
「もう十分だよ……助けてくれてありがとう」
そう言いながら、ゾロの腕を引っ張った。
けれども、ゾロは動かない。
「こいつはAを恨んでやがる。ここで引き下がればいつ復讐されるかわからねェんだぞ！」
「忘れたの？ 私、ゾロが思ってるより強いって言ったでしょ」
ゾロの瞳をしっかりと見つめて訴える。
そしてジョウに視線を移すと、私は鞄の中からもう1匹の映像電伝虫を取り出してニヤリと笑った。
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miku(プロフ) - 桜さん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！最近はなかなか執筆できていないのですが、今でもこうしてコメントをいただけるとまた時間のあるときに書いてみようかなという気になれます😭🫶🏻 (2022年11月14日 17時) (
レス) id: 761cc2fde5 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっても、素敵な作品でした。 これからも頑張ってください！ (2022年11月12日 22時) (レス) @page33 id: a028b5c607 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» アニメ全然観てないんですよ、、ワンピ以外のジャンプ作品だったら銀魂と鬼滅くらいです (2021年9月8日 13時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月8日 7時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» 最初のコメントでこんな嬉しいお言葉をいただけるなんて！高評価までありがとうございます！！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku | 作成日時：2021年9月4日 1時
