1時間半 ページ25
「なんで……」
消え入りそうな声が漏れる。握られた手首が痛い。
「なんか怪しいと思って泳がせてみれば、随分と勝手な真似をしてくれたね」
表情を変えないまま淡々とした口調。
ジョウの瞳は月明かりに照らされて、ギラリと輝く。
絶望の縁に立たされた気分だった。
通りでトントン拍子で計画が進んだわけだ。
ジョウはとっくに私の計画に気づいていながら、私を泳がせていたのだ。
「まだ1時間半しか経ってないってことは睡眠薬は飲まず寝たフリをしてたわけですか」
「おれにだって人の心はあるさ。言ったでしょ、リボンちゃんのことを信じたかったけどねって」
ジョウの言っていることがわからず目を細める。
「信じたかったから、口の中で砕いて半分だけ飲むことにしたんだよ。でも、そんな良心も無駄だったらしいな」
手首を握るジョウの爪の先が白くなって、さらに痛みが強くなる。
私は唇を噛み締めた。
とにかく、この電伝虫さえ海に投げてしまえばゾロの映像は消える。
思い切り力を振り絞って、手首を外側へ捻った。
すると、ほんの一瞬だけジョウの手が離れた。
ジョウの手が離れた隙に、電伝虫を海へ投げ入れた。
「……！」
波の音とともに、ポチャっと電伝虫が落ちる音がした。
ジョウの顔は見る見るうちに曇っていくのがわかる。
「お前な、自分が何やってるのかわかってんのか？」
「わかってます。何も悪くないですよね」
「生意気な女だ。おれがどういう奴か忘れたかな？」
「世界政府と繋がりがある、海賊兼マフィアみたいな組織の幹部。ここ一帯の
「よくわかってんじゃないか」
「しかも、自分の部下がやられたからって個人的な理由で世界政府とのコネを使って、何も悪くない
「その通り。そして、おれの手にかかれば、あんただって潰せるさ」
これで私の役割は果たし尽くしたな、と思った。
ジョウのスーツのポケットから、黒い銃が出てくる。
そしてその銃は私の頭にぴたりとくっつけられる。
全身の震えが止まらない。
でも、ここで私を殺したところで映像電伝虫に記録されたゾロの映像は戻ってこない。
証拠がない以上、ジョウはゾロに手出しできない。
だから、このゲームは私の勝ちだ──。
ジョウが引き金に指をかけた瞬間のことだった。
突如、鋭い輝きを放つ刃が視界に飛び込んできた。
「A！！！！」
聞こえてきたのは、渋くて低い、聞き覚えのある声──ゾロの声だった。
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miku(プロフ) - 桜さん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！最近はなかなか執筆できていないのですが、今でもこうしてコメントをいただけるとまた時間のあるときに書いてみようかなという気になれます😭🫶🏻 (2022年11月14日 17時) (
レス) id: 761cc2fde5 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっても、素敵な作品でした。 これからも頑張ってください！ (2022年11月12日 22時) (レス) @page33 id: a028b5c607 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» アニメ全然観てないんですよ、、ワンピ以外のジャンプ作品だったら銀魂と鬼滅くらいです (2021年9月8日 13時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月8日 7時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» 最初のコメントでこんな嬉しいお言葉をいただけるなんて！高評価までありがとうございます！！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku | 作成日時：2021年9月4日 1時
