9年振り ページ3
「何もしないって、状況わかってる？ 私はAじゃないんだよ？ リボンなんだよ？ デリ嬢だよ？」
わけがわからず一気にまくし立てる私とは対照的に、ゾロは冷静に返事をする。
「んなことぐらいわかってるに決まってんだろ」
「いや、わかってない！ デリ嬢とラブホだなんて、目的はひとつしかないでしょ！？ 店に連絡して、今すぐ別のデリ嬢手配してあげるから！」
ゾロは小さくため息をついて「落ち着け」と言った。
「ただ、お前と話してェだけだ。最悪な形とはいえ、9年振りの再会だぞ」
ゾロの声色が先程より優しくなった気がした。
私はもう一度ゾロを見上げる。
それは、私だって話したいことはたくさんあるに決まっている。
この9年間、1度もゾロのことを忘れた日などなかったのだから。
「仮に、仮にだよ」
喉の奥がきゅうっと詰まり、滑らかに話せない。
「仮に、ただ話をするだけだとして。それでも、デリ嬢としてここに来てる以上、ちゃんとお代は頂かないといけないし……」
心の底から運命を憎みたかった。
ずっとずっと再会したかった初恋の相手──そんな人とこんな形で再会してしまったことも、せっかく再会できたのに今すぐここを出ていかなくてはならないことも。
すべてが憎い。
「だから、私、帰らなくちゃ──」
「金さえ払えばいいだろ？」
私が言い終わる前にゾロが声を被せてきた。
「デリ嬢呼んで、ただ話すだけで終わるのが禁止だってルールはねェよな」
「いや、それはそうだけど、その」
「おれは金を払ってでもAと話してェことがある」
もう一度、ゾロの瞳に視線を移した。その真っ直ぐな瞳は、本気でただ話したいと思っているだけだということを物語っていた。
「本当に、それで、いいの？」
「ああ」
いろいろなことが起こりすぎて、どうするのが正解なのかもはやわからない。
半分放心状態で、私はようやくデリ嬢の決まり文句を口にした。
「……今日、お時間どうしますか？」
ゾロは少し考える素振りを見せたあと静かに答えた。
「120分で」
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miku(プロフ) - 桜さん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！最近はなかなか執筆できていないのですが、今でもこうしてコメントをいただけるとまた時間のあるときに書いてみようかなという気になれます😭🫶🏻 (2022年11月14日 17時) (
レス) id: 761cc2fde5 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっても、素敵な作品でした。 これからも頑張ってください！ (2022年11月12日 22時) (レス) @page33 id: a028b5c607 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» アニメ全然観てないんですよ、、ワンピ以外のジャンプ作品だったら銀魂と鬼滅くらいです (2021年9月8日 13時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月8日 7時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» 最初のコメントでこんな嬉しいお言葉をいただけるなんて！高評価までありがとうございます！！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku | 作成日時：2021年9月4日 1時
