3本の刀 ページ2
「うそ……でしょ」
誤魔化す暇もなく心の声がそのまま、震える口から漏れた。
緑色の短髪、細くキリッとした眉毛、薄い二重瞼に鋭く綺麗な瞳、スラリと高い鼻、固くキュッと結ばれた口。
何より、腰に携えた三本の刀。そのうちの一本は私にもよく見覚えのある、
9年前よりもずいぶんと大人びて男らしくなっているけれど、それがゾロだとわかるのに数秒もかからなかった。
ゾロは固まって動けない私を無言で見つめている。
こういうとき、どうすればいいのだろう。
全身の血がドクドクと激しく流れる感覚に襲われながら、私は必死で思考を巡らせた。
いや、大丈夫。店に連絡をして知り合いだった旨を伝えれば、チェンジしてもらえる。
手汗が滲む手でバッグの中をごそごそと探り、電伝虫を取り出そうとした。
するとゾロがようやく口を開いた。
「いいから、一旦中に入れ」
「えっ」
大きな手でガシリと手首を掴まれる。
わけがわからないまま、私はふらりとバランスを崩し、ゾロの身体に寄りかかるような形で部屋へ入れられた。
一瞬、ゾロの服から懐かしい匂いがするのを感じた。
ドアが閉まった音で我に返り、すぐさまゾロから離れる。
どんな言葉を発すればよいのかわからない。
私とゾロの間に、数秒の沈黙が流れる。
先に沈黙を破ったのはゾロのほうだった。
「A、だよな？」
軽蔑されているのか、単純に驚かれているのか、その低く落ち着いた声からは判断できなかった。
もう誤魔化しようがない。そう悟った私は、ゾロから視線を外したまま頷いた。
一体ゾロがデリ嬢になった私をどんな目で見ているのか、確認するのがたまらなく怖い。
「まさかこんな最悪な形で再会するとはな」
私は俯いて、ワインレッドの柔らかいマットが敷き詰められた床のただ一点を見つめる。
「私、帰るね」
「待てよ」
なぜ帰ろうとするのを止められるのか、ゾロの言葉に耳を疑った。
「ごめん、本当に無理なの。知り合い相手に、その、仕事するのとか、ありえないから」
途切れ途切れになって出てきた言葉の最後のほうは、消えてしまうほど小さくなってしまった。
「……なんもしねェから」
ゾロから返ってきたその予想外の言葉に、思わず私の声は裏返った。
「え？」
「だから、お前が恐れてるようなことは一切しねェよ」
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miku(プロフ) - 桜さん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！最近はなかなか執筆できていないのですが、今でもこうしてコメントをいただけるとまた時間のあるときに書いてみようかなという気になれます😭🫶🏻 (2022年11月14日 17時) (
レス) id: 761cc2fde5 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とっても、素敵な作品でした。 これからも頑張ってください！ (2022年11月12日 22時) (レス) @page33 id: a028b5c607 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» アニメ全然観てないんですよ、、ワンピ以外のジャンプ作品だったら銀魂と鬼滅くらいです (2021年9月8日 13時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2021年9月8日 7時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 星猫さん» 最初のコメントでこんな嬉しいお言葉をいただけるなんて！高評価までありがとうございます！！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: fed98eab61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miku | 作成日時：2021年9月4日 1時
