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｢戦兎早く！｣
結局、俺とAは遊園地に行くことになった。｢今日しか｣なんて頼まれたら断れない。
｢Aの好きなところ行っていいよ｣
入り口付近の人混みをやっと抜けて一息つくAにそう言うと、ぴっと一番目立つものを指差した。
｢じゃあまず観覧車｣
｢ちょっと待て順番考えろ｣
うきうきした顔で園内マップ片手に出発しようとするAの肩を掴む。何が何でもそれが最初はない。当のAはきょとんとしているけれど、雰囲気ってものがあるだろう。
｢でも夜になったら混むでしょ、たぶん｣
ため息をついていると、そんなことを言われて何も言えなくなる。正論だけどそういう問題じゃない。
なんだかなーと落ち込む俺をAは引きずっていく。最初に観覧車に乗るのは決定事項らしい。
｢さあ、いこー！｣
観覧車へ向かうAは幸せそうだった。
ちょっと不満はあるけれど、Aが笑っているのならそれでいいかもしれない。
｢見て戦兎、高いね！｣
そうだな。と当たり障りのない返事を返して俺も窓の外を見る。そこからは真昼の遊園地を一望できた。贅沢を言えば夜にイルミネーションを見ながら｢綺麗だな｣なんて言いたかったけど、Aのご要望だから仕方ない。
隣に座るAは、色とりどりのアトラクションを見ながら遊園地を回る計画を建てている。ほんの少し期待していたけど、本当に遊園地に来たかっただけらしい。
｢A…｣
ガコン
愛しい彼女の名前を呼んだとき、大きくワゴンが揺れた。
記憶に嫌な映像が浮かぶ。
何が起きたのか頭が理解する前に、俺はAの体を抱き締めていた。
『戦兎！』
『A…！よかっ…』
『あ…』
『A！！！！』
腕の中に感じる体温にほっと息をつく。驚いたように俺を見上げるAを見て、背中に回った手に力を入れた。
｢戦兎…？｣
ここはスカイウォールが存在しない世界。あの10年間がなかった世界。
あの1年がなかった世界。
また言えずに終わるんだろうか、俺は。
深呼吸してからそっと体を離すと、Aは困惑したようか表情を見せる。
｢戦兎、大丈夫？｣
そう言って手をすっと顔に伸ばすA。
その手を掴んでぐいっと引き寄せると、Aの体は簡単に傾いた。
｢せ、戦兎…｣
向かい合う形で俺の膝の上に乗っているAは、俺がにこりと笑うと顔を赤らめる。
少しやり過ぎかもしれないけど、今の受け身の状態じゃきっと一生このまま。だったらこちらから攻めるしかない。
｢A。Aが家にあげたり、こうやって遊びに誘ってくれる男って、俺だけ？｣
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デリート(プロフ) - クリオネf。tさん» 了解です！書いたことがないので上手くできるかわかりませんが、頑張ります！ (2019年3月24日 2時) (
レス) id: 94669fbf54 (このIDを非表示/違反報告)
クリオネf。t - 永夢君がお相手で女攻めとか大丈夫ですか？無理ならそれでいいので！ (2019年3月24日 1時) (レス) id: fe04442c66 (このIDを非表示/違反報告)
デリート(プロフ) - 永流/Eruさん» ありがとうございます。どうかなーと思いながら書いていたので、そう言っていただけると嬉しいです。 (2019年2月8日 22時) (レス) id: 94669fbf54 (このIDを非表示/違反報告)
永流/Eru(プロフ) - ビルド感動しました。切ない終わり方メッチャ好きです。m(._.)m (2019年2月4日 0時) (レス) id: d36ee27f29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：デリート | 作成日時：2018年2月19日 1時
