番外編105話 ページ46
近くに雅紀たちがいる。
確証ではない。
ただの感だ。
黒い車を見た言う証言があっただけで子供たちの姿を見ていたわけではない。
その車も雅紀たちを乗せた車であると断定も出来ない。
「いのっちぃ……倉庫を見に行ってもいい？」
翔も確かめたいのだろう。
「待て……まず坂本さんに連絡をする」
自分一人なら車のナンバーを確かめ、運送会社の事務所に乗り込んだだろう。
けれどそばに大事な子供たちがいる。
智たちの身に何かがあってはならない。
携帯電話を手に取ると不在着信となっていた。
発信先は坂本。
すぐに電話をかけなおす。
『井ノ原さん！良かった。何かあったのかと思った』
「すまん、和也の泣き声で気が付かなかった」
『泣き声？あーっ聞こえるわ。それより今どこにいる』
「〇○って港だ」
『〇○！俺も今そっちに向かっている。准一たちの居場所がわかった、今、井ノ原さんのいる港だ。』
ｷﾝと耳鳴りがした。
『場所は確定できてないが、運送会社だと小峰が教えてくれた。名前はわからないらしい』
「……多分……△△」
『え？』
「その運送会社の前にいる。……早くこっちに来てくれ」
『OK！もうじき到着する』
「サイレンは消して来てくれ」
心配そうな顔で智と翔が井ノ原を見上げる。
「あそこに雅ちゃんいるの？」
「多分な。そうだろ和也？」
ピタッと和也が泣き声を止めて井ノ原を見返す。
『そうだよ。あそこにいるの』
次から次に溢れる涙をぬぐってやる。
「もう少しだけ待ってくれ。助け出すからな」
建物のドアを見つめる井ノ原たち。
ドアの向こう。
確かに雅紀と准一がいた。
時間は少し戻る。
誰も訪れるはずのないドアを叩く音に男たちは息を飲む。
「ガキどもを静かにさせろ」
「ああ」
男の一人は給湯室に移動すると威嚇する准一に声を出すなと命令する。
雅紀の細い首に手の平を当てると一言でも声を上げたら首をへし折ると脅したのだ。
ドアが開く音と共に聞き覚えのある声が聞こえてきた。
井ノ原の声。
助けに来た。
願いは通じた？
けれど自分たちの存在に気が付かない様子。
ここにいるのに。
助けて。
声が喉まで出そうになる。
目の前で雅紀の首に当てている手に力が入った。
声を出せない。
出したら雅紀が。
悲しい現実。
「早い時間に失礼しました」
帰ってしまう。
行かないで！
気が付かれないまま井ノ原が行ってしまう。
ドアが閉まる瞬間に和也の泣き声が聞こえた。
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むつき(プロフ) - ｒｉｏさん» そうですね、まさちゃんと皆が出会えて本当に良かったです。どんなに傷を抱えていても前を向いて歩んで行けるはず！読んでくれてありがとう！ (2017年7月12日 22時) (
レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はぴともさん» はぴともさん……大好きって告白されちゃった。いや違う違う(笑)兄弟たちを大好きになってくれて感謝です！ (2017年7月12日 22時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - のんさん» お兄ちゃんたちの優しさが弟の愛が雅ちゃんの心を開いたのでしょう。二人ともやっと助け出されましたよ！ (2017年7月12日 22時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - 沙羅さん» まーくんがしゃべりましたよーーー。和ちゃんもご機嫌です。小さくても兄弟たちは共に助け合います！ (2017年7月12日 22時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
ｒｉｏ(プロフ) - 泣いちゃいました。まーくんがしゃべった。隠し事してる最中だけど、気を許せて少しでも心開ける人たちに出会えて良かった。怖いのに最後までまだ出てこない潤くんのことも想って生きることを諦めないでいてくれて、智君が読者の代わりに制裁してくれました！流石長男 (2017年7月12日 18時) (レス) id: bfae0dae1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2016年10月23日 0時
