番外編46話 ページ37
水から守るように智が雅紀へ覆いかぶさる。
「水を止めて小峰さん！」
慌てた様子で翔が駆けてきた。
が、小峰には今の状況が理解できない。
フリーズして動きが止まってしまった。
智たちの頭上に水が降り注いだままに。
翔は小峰からホースを取ると水の方向を変えた。
「シスター早くこっち！」
「雅紀？」
准一に呼ばれて百合が玄関から飛び出してきた。
ひと目で状況を把握する。
「智、もう大丈夫よ。雅紀から離れていいわよ」
その言葉に雅紀に覆いかぶさっていた智が離れる。
「雅紀、もう大丈夫ですよ」
「……」
体が震えていた。
「触りますよ？」
そっと雅紀の肩に触れる。
驚いて体がはねた。
顔を隠していた両手が外れる。
蒼白で目にたくさんの涙を貯めていた。
「怖いですか？」
小さく頷く。
「中に入りましょうね。抱っこしますよ？」
「あの、あの百合先生、雅紀君どうしたんです？具合が悪いんですか？医務室に運ぶなら僕が」
「小峰君、今そこから動かないでください」
小峰の姿を見た雅紀が怯えている。
大学生は雅紀にとって大人も同然。
苦手の水を浴びてしまった雅紀は近づいてくる大人にパニック状態。
助けを求めるように百合に手を伸ばす。
ゆっくりと抱きかかえる。
「ごめんなさいね小峰君。この子水が怖いのよ。説明がなかったわ。もう大丈夫だから子供たちの水浴びの続きをお願いしますね」
「あっハイ」
「オイラも行く！」
「なーぅ！」
翔の背中にいる和也が暴れる。
「わかったよ。一緒について行くってば」
翔はホースを小峰に返すと百合の側へ。
「俺も一緒に行っていい？」
「おう、准一君も行こう」
こうして雅紀と智たちは医務室へ向かったのだった。
准一から事の成り行きを聞いた坂本。
「俺がもう少しな、早く水撒きに気が付いてたら、雅紀……怖い思いさせなかってん」
優しい甥っ子が愛しい。
「兄貴……いい子に育てていたんだな」
「ん？」
「早く雅紀って子が元気になるといいな」
「おう、俺らがそばにいてるし大丈夫や！」
しばらくして百合が戻ってきた。
「お待たせしました」
「雅紀君は落ち着きましたか？」
「はい」
その言葉にそわそわとし始めた准一に
「行っておいで」
と坂本が言うと飛び出すように部屋を出ていく。
「はははっ」
「いいんですかお話をしなくても」
「日本に滞在するのは長くなりそうなので今度で。それより俺は嬉しいですよ」
一人ぼっちだと思っていた甥には兄弟みたいな友達がいることに。
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ゆきんこ。(プロフ) - ずっとずっと、この作品を、むつきさんを探していました。前に1度むつきさんのお話を読んだ時にお気に入り設定をしたのですが、そのアカウントがログインできなくなってしまい(記憶力のせい)新しいアカウントを作ってから探し続けてたんです！見つけられてよかった。 (2016年9月16日 23時) (
レス) id: cf8d713ce4 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - やみぃ〜さん» コメントありがとうございます。予定より壮大になっております！頑張りますので見守っていてくださいね！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はぴともさん» お返事遅れました。そして更新も遅れましてです（汗）一波乱の臭いプンプンでご披露させて頂きます！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
やみぃ〜(プロフ) - ありがとうございます。意外と壮大な話で申し訳ないです。でも応援しています。 (2016年9月7日 23時) (レス) id: 571eda6b98 (このIDを非表示/違反報告)
はぴとも(プロフ) - むつきさん更新ありがとぉ＼(^o^)／なにやらまた一波乱ありそうですね。スッゴい楽しみです。 (2016年9月7日 22時) (レス) id: d2f048c3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2016年4月20日 21時
