番外編44話 ページ35
水遊びにはしゃぐ子供たちの輪の中に智たち一同がいない。
ボランティア学生の小峰に彼らがいないのは何故か問う。
顔が曇る。
「……あの……すみません……僕、知らなくて……」
その言葉に何が起きてしまったのかを悟る。
猛暑の午後。
内水がてらに前庭へ水を撒いてくれと頼まれたのだろう。
子供たちにかけて遊ばせてくれと。
ホースを外水道につなげて準備は完了。
呼寄せなくても子供たちは涼みに集まってくる。
たまたま雅紀が近くにいた。
職員も雅紀が水嫌いと伝えるのを忘れていた。
ホースからの水が雅紀に降り注いでしまった。
災難と言っていい。
パニックを起こして雅紀は建物の中に連れて行かれたのだろう。
「雅紀は部屋に？智たちも？」
「あっ……医務室にいます。一緒に智くたちも」
付け足すように和也もと。
「小峰君は気にするな。伝達ミスだ。君が悪いわけではないよ」
「……はい」
「そのまま水浴びを続けて。終わったら皆の着替えサポートをよろしく」
「わかりました」
井ノ原は雅紀がいる医務室へ足を向ける。
坂本を連れて。
医務室のドアをノック。
そっとドアを開けるとベッドを取り囲む子供たちと百合がいた。
頭から毛布をかぶっているベッドの固まり。雅紀だろう。
智が優しく固まりを撫でている。
「百合さん」
「お帰りなさい井ノ原君。坂本さんこんにちは」
一緒に医務室に入ってきた坂本に頭を下げる。
「お約束の時間でしたね、お話を」
「いや……後にしてください。准一と話しながら待っていますから落ち着いてからで」
気をきかせた。
准一を手招きする。
「では理事長室でお待ちください」
「行こう准一」
「……」
離れがたい顔をして准一は小さく頷く。
2人理事長室へ入る。
今日は理事長の植草は不在のようだ。
ソファーに向かい合い座る。
准一は少し緊張をしていた。
叔父であるが会うのは今日で二度目。
父親の影を探す。
「父ちゃんの弟……似てへん……」
凝視する准一。
「俺は母親似だからな、父親似の兄さんとはあまり似てないんだ」
と笑った坂本の笑顔が少しだけ亡くなった父親に似ているような気がした。
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ゆきんこ。(プロフ) - ずっとずっと、この作品を、むつきさんを探していました。前に1度むつきさんのお話を読んだ時にお気に入り設定をしたのですが、そのアカウントがログインできなくなってしまい(記憶力のせい)新しいアカウントを作ってから探し続けてたんです！見つけられてよかった。 (2016年9月16日 23時) (
レス) id: cf8d713ce4 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - やみぃ〜さん» コメントありがとうございます。予定より壮大になっております！頑張りますので見守っていてくださいね！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はぴともさん» お返事遅れました。そして更新も遅れましてです（汗）一波乱の臭いプンプンでご披露させて頂きます！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
やみぃ〜(プロフ) - ありがとうございます。意外と壮大な話で申し訳ないです。でも応援しています。 (2016年9月7日 23時) (レス) id: 571eda6b98 (このIDを非表示/違反報告)
はぴとも(プロフ) - むつきさん更新ありがとぉ＼(^o^)／なにやらまた一波乱ありそうですね。スッゴい楽しみです。 (2016年9月7日 22時) (レス) id: d2f048c3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2016年4月20日 21時
