番外編40話 ページ31
探せども、探せども翔と雅紀が見つからない。
職員と一緒に智たちも手分けをして周囲を探すが姿かたちもない。
「……警察に連絡をしましょう」
真っ暗となった外。
子供たちは建物に戻される。
このままみんなで探しても子供たちが二重の行方不明になりかねない。
受話器を手に取った百合を井ノ原は止める。
「百合さん待って。門のタクシーが停まった」
一台のタクシーがウィンカーを点灯させ停車。
後方のドアが開き出てきたのは翔と雅紀。
驚いて百合と井ノ原が玄関から飛び出す。
「翔、雅紀」
「シスター！」
百合の顔を見ると涙全開で走り抱きついた。
「うえっ……まい……迷子になっちゃって……ぐずっ」
ビクビクしながら近づいて来た雅紀もやさしく抱きしめる。
「おかえりなさい雅紀、翔」
安堵で半分力の抜けた顔になっている井ノ原と智や他の子供たちも二人を囲む。
「お前らどこまで行ってたんだ？」
「わかんない、タクシーで結構走ったとこ」
偶然タクシーが通りかかったのか？
「おじさんが助けてくれたんだ」
「おじさん？」
タクシーからもう一人降りる気配。
子供たちを送ってくれたのだという人物。
井ノ原はお礼を言う為にタクシーに近づいた。
出てきた長身の青年。
「すみません子供らがご迷惑をかけたようで」
「いや、俺の方が助けられたんだ。二人に会えなかったらここへたどり着けなかったよ」
「ここに？」
「ここに来る予定だった。道がわからなくなってしまってさ」
本当に助かったと爽やかに笑う。
井ノ原は目の前の人物を警戒する。
夕方の時間に子供たちが暮す施設に何の用事があると言うのか。
見たことのない顔。
子供たちにそれとも職員の知り合いなのだろうか。
井ノ原の警戒に気が付いたのか青年は慌てて自分の名前を名乗った。
坂本昌行。
百合と井ノ原には聞き覚えのある名前。
「あなたが……坂本さんですか。私が大野です。」
「大野さん……あなたでしたか。電話で何度か話をさせてもらいましたけど素敵な女性だろうなと思い浮かべていました。実物は想像以上ですね」
ピクリ。
井ノ原の片眉がつり上がる。
ワザと百合と坂本の間に入り立つ。
「俺は井ノ原です。はじめまして」
坂本に向けて手を差し出す。
握手を交わす二人。
井ノ原は握る手に力を込めた。
百合に近づくなよと意味を込めて。
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ゆきんこ。(プロフ) - ずっとずっと、この作品を、むつきさんを探していました。前に1度むつきさんのお話を読んだ時にお気に入り設定をしたのですが、そのアカウントがログインできなくなってしまい(記憶力のせい)新しいアカウントを作ってから探し続けてたんです！見つけられてよかった。 (2016年9月16日 23時) (
レス) id: cf8d713ce4 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - やみぃ〜さん» コメントありがとうございます。予定より壮大になっております！頑張りますので見守っていてくださいね！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はぴともさん» お返事遅れました。そして更新も遅れましてです（汗）一波乱の臭いプンプンでご披露させて頂きます！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
やみぃ〜(プロフ) - ありがとうございます。意外と壮大な話で申し訳ないです。でも応援しています。 (2016年9月7日 23時) (レス) id: 571eda6b98 (このIDを非表示/違反報告)
はぴとも(プロフ) - むつきさん更新ありがとぉ＼(^o^)／なにやらまた一波乱ありそうですね。スッゴい楽しみです。 (2016年9月7日 22時) (レス) id: d2f048c3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2016年4月20日 21時
