番外編38話 ページ29
自分の分が悪いからと言って他人の粗を探してはならい。
百合は判りやすく優しく教える。
「でも宿題見せてくれない翔君もイジワルじゃん」
「それは丸写しする気だったからだろ」
やっと泣き止んだ和也に安心した智は、友達の目をまっすぐに見つめる。
「そうね、まずは自分で宿題に向き合わないといけませんね」
「そんでわからない所を翔君に教えて貰えば良かったんだ」
宿題などしたくない。
ずっと遊んでいたい。
楽をすることだけを考えていた勝重。
「でも……もう翔君、宿題終わってるんだもん。見せてもらった方が早いじゃん」
「ただのズルだろ」
井ノ原は呆れる。
ズルをしようとしたことと、それをとがめられて逆切れをしたこと。
「翔は何も悪くないな」
「……」
井ノ原の言う通り。
自分のしてしまった重大さに気が付いて勝重の顔色が変わっていく。
「何も悪くない翔君に一番傷つける事を言ったんだぞ勝重君」
わかっている。
智の言葉が重くのしかかる。
「謝りましょう」
「許してくれるかな？」
「大丈夫ですよ。翔は優しい子です。勝重君が一生懸命に謝れば判ってくれます、宿題も手伝ってくれます」
「……僕、謝る」
「はい。そうしましょうね」
改心した勝重に翔を連れて来なければ。
「どこにいるかしら？」
施設中を探すも姿がない。
「……翔君の靴がない」
玄関には翔のスニーカーがなかった。
外に行ったのだろうか。
部屋を飛び出してそのまま外に出たのだろう。
「雅ちゃんの靴もないんだけど……」
飛び出した翔の後に雅紀もついて行ったらしい。
「探しましょう、近くにいるでしょうきっと」
その頃翔は……。
夕日で赤く染まる空の下を歩いていた。
キレイな空は気持ちをなぐさめてくれる。
「……ふう」
帰らなきゃならい気持ちになった。
皆きっと心配している。
涙を腕で拭って鼻をすする。
大きく深呼吸して翔はあることに気が付いた。
「ここどこだろう？」
気持ちのままに走って、走って、ただ走ってきた。
見知らぬ町並み。
施設からかなり離れているのだろう。
来たことのない町にいた。
「戻らないと」
慌てて振り返った翔の目に雅紀の姿が写る。
少し後ろにいた。
「追いかけて来たの？」
小さく頷く。
「……雅紀……ここどこだか判る？」
答えは判っていながら尋ねた。
首を横に振る。
「だよね。僕も知らないもん、雅紀も知らないよね」
翔の頭の中で二文字が浮かんだ。
『迷子』
さぁどうなる二人？
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ゆきんこ。(プロフ) - ずっとずっと、この作品を、むつきさんを探していました。前に1度むつきさんのお話を読んだ時にお気に入り設定をしたのですが、そのアカウントがログインできなくなってしまい(記憶力のせい)新しいアカウントを作ってから探し続けてたんです！見つけられてよかった。 (2016年9月16日 23時) (
レス) id: cf8d713ce4 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - やみぃ〜さん» コメントありがとうございます。予定より壮大になっております！頑張りますので見守っていてくださいね！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はぴともさん» お返事遅れました。そして更新も遅れましてです（汗）一波乱の臭いプンプンでご披露させて頂きます！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
やみぃ〜(プロフ) - ありがとうございます。意外と壮大な話で申し訳ないです。でも応援しています。 (2016年9月7日 23時) (レス) id: 571eda6b98 (このIDを非表示/違反報告)
はぴとも(プロフ) - むつきさん更新ありがとぉ＼(^o^)／なにやらまた一波乱ありそうですね。スッゴい楽しみです。 (2016年9月7日 22時) (レス) id: d2f048c3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2016年4月20日 21時
