番外編36話 ページ27
時に子供は残酷だ。
飾りのない心を持っている分、大人のような遠慮はない。
己の気持ちをまっすぐにぶつけてしまう。
ある日の午後。
智たちの暮らす児童施設でちょっとしたケンカが起きた。
頭がいい翔は夏休みに入って早々に宿題のいくつかを終わらせた。
それを知った子供の一人が宿題を見せろと要求。
根が真面目な性格の翔。
宿題は自分自身がやらなければ勉強にならないと主張。
見せることはしなかった。
しかし、宿題をしたくない子供は翔が前庭で遊んでいるのを確認すると部屋に入り込む。
本人に黙って宿題のノートを持ち出そうとしたのだ。
たまたま部屋にいた雅紀と和也。
事の成り行きを知っていた雅紀は少年を止める。
「はなせよ。すぐに返すよ」
駄目だと首をふる。
「雅紀が言わなきゃいいんだよ。って言ってもお前喋らないから丁度いいじゃん」
駄目だよと少年のお腹にしがみ付く。
「放せって！」
「……」
ノートで頭を叩かれた。
「うぅ！」
ピンチ？これは雅紀のピンチ！
和也の小さいお口が縦にパカッと開く。
大きく息を吸って……。
「ふえええええええええん！」
大音響で泣き始めた。
雅紀がいじめられる。
誰か助けに来いよ！と言わんばかりに。
いつもとは違う泣き声にいち早く反応したのは智で部屋に飛び込んでくる。
「カズどうした？」
「ふええええん！」
目と鼻からマイナスイオンが垂れている。
「雅ちゃんカズはどうして泣い……何してんの？」
少年の腰に抱き着いた雅紀の姿。
「……勝重君、なんでオイラ達の部屋にいるんだ？そのノート……翔君のだろ？」
「か、貸してくれるって言ってたから」
違う、違うと雅紀が首を振る。
「和が泣いてるけどどうしたの？」
「すっごい大きい泣き声やで」
外から翔と准一もやってきた。
「翔君、ノート勝重君に貸した？」
「貸してないけど……あっ僕のノート！」
勝重と呼ばれる少年は背中にノートを隠す。
「黙って持って行こうとした？」
「……」
「ダメだって言ったじゃん。自分でやらなきゃ！」
「少しくらいいいじゃんか！」
開き直った。
「少しでも駄目だよ！」
「ケチケチするな！」
「黙って持って行くのはもっと駄目だよ。泥棒と一緒だよ、悪い事だよ！」
「うるさい！お前の父さんの方が悪い人間じゃないか！子供のお前も悪い人間なんだから正義感ぶるなよ！」
空気が凍った。
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ゆきんこ。(プロフ) - ずっとずっと、この作品を、むつきさんを探していました。前に1度むつきさんのお話を読んだ時にお気に入り設定をしたのですが、そのアカウントがログインできなくなってしまい(記憶力のせい)新しいアカウントを作ってから探し続けてたんです！見つけられてよかった。 (2016年9月16日 23時) (
レス) id: cf8d713ce4 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - やみぃ〜さん» コメントありがとうございます。予定より壮大になっております！頑張りますので見守っていてくださいね！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はぴともさん» お返事遅れました。そして更新も遅れましてです（汗）一波乱の臭いプンプンでご披露させて頂きます！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
やみぃ〜(プロフ) - ありがとうございます。意外と壮大な話で申し訳ないです。でも応援しています。 (2016年9月7日 23時) (レス) id: 571eda6b98 (このIDを非表示/違反報告)
はぴとも(プロフ) - むつきさん更新ありがとぉ＼(^o^)／なにやらまた一波乱ありそうですね。スッゴい楽しみです。 (2016年9月7日 22時) (レス) id: d2f048c3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2016年4月20日 21時
