番外編29話 ページ20
施設の合言葉(井ノ原の作った掟)は、自然と口に出る程に子供たちの頭に刷り込まれている。
大人になった和也たちも条件反射で唱えてしまう位に。
「この教訓が何？」
和也の問いに翔が答える。
「これが出来たのは俺たちのせいと言うか原因というか」
「何かやったの？」
今度は潤の呟き。
「まぁやっと言いますか、巻き込まれたと言うべきか」
「施設始まって以来の大事件だ」
「事件？」
弟二人の目は長男を凝視する。
聞いたこともない。
大が付く程の事件など。
「誘拐」
「へ？」
「誘拐？」
二人の想像を超えた事件であった。
「あそこでそんな事件が起きていたの？」
「誰が誘拐されたんです？」
翔が准一を指差し、智が廊下へ指差した。
「准一さん？と……」
廊下の向こうには兄弟たちの部屋がある。
今、リビングにいないのは……次男。
「雅兄？」
「正解。あの時はずっげー焦ったよね、智君」
「焦った以上だったな」
末っ子たちは顔を見合わせる。
今、兄たちは何と言った？
雅紀が誘拐された？
「そ、そんな話聞いたことがありませんでしたよ！」
「誘拐って何だよ！」
パニックになる末っ子たちに過去に起きた事だからと翔がなだめる。
「誘拐の話は雅ちゃんに思い出してもらいたくなかった。皆その話は避けてた」
「でも、でも誘拐ですよ」
「厳密には誘拐の一歩手前」
「いやいやありゃほぼ誘拐だって、なぁ准一君」
「誘拐だね」
和也が突然立ち上がると無言でキッチンに向かう。
冷蔵庫から冷えた缶ビールを数本持ってもどってきた。
潤も冷蔵庫に向かうと常備菜のピクルスの数種類、皿に盛りつけて座りなおす。
「……酒もツマミも補充しました。じっくり聞かせてもらっても」
「よろしいでしょうか？」
2人の迫力に准一を真ん中に並び正座する。
「よよよろしいです」
迫力に圧倒される翔。
その反対に智は楽しそう思い出していた。
「まずは准一君の話からじゃない？」
智の言葉に准一が頷く・
「そうだな。俺の身の上話からがいいかな、誘拐までの流れに関係があるしね」
記憶の糸が巻き戻されていく。
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ゆきんこ。(プロフ) - ずっとずっと、この作品を、むつきさんを探していました。前に1度むつきさんのお話を読んだ時にお気に入り設定をしたのですが、そのアカウントがログインできなくなってしまい(記憶力のせい)新しいアカウントを作ってから探し続けてたんです！見つけられてよかった。 (2016年9月16日 23時) (
レス) id: cf8d713ce4 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - やみぃ〜さん» コメントありがとうございます。予定より壮大になっております！頑張りますので見守っていてくださいね！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はぴともさん» お返事遅れました。そして更新も遅れましてです（汗）一波乱の臭いプンプンでご披露させて頂きます！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
やみぃ〜(プロフ) - ありがとうございます。意外と壮大な話で申し訳ないです。でも応援しています。 (2016年9月7日 23時) (レス) id: 571eda6b98 (このIDを非表示/違反報告)
はぴとも(プロフ) - むつきさん更新ありがとぉ＼(^o^)／なにやらまた一波乱ありそうですね。スッゴい楽しみです。 (2016年9月7日 22時) (レス) id: d2f048c3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2016年4月20日 21時
