番外編26話 ページ17
大人の怒鳴り声。
雅紀には耐えがたいもの。
体中をこわばらせ、泣かぬ様に必死に耐えた。
極度の緊張から解放された瞬間に脱力。
少しだけ准一は寂しい気持ちを持つ。
すぐ隣にいた自分ではなく目の前の智に頼ったのが悔しく感じた。
同室ではないがまったく接点がない訳でもない。
慕ってくれている翔の後ろにくっ付いているからわりかし過ごす時間は多いのに助けを求めた先はとなりに立つ自分ではなかった。
「医務室に連れて行く？百合さん」
「お部屋の方がリラックスできるでしょうから」
「オイラがそばにいる」
「智と翔はこの後市立図書館に本を返しに行く予定でしたよね？」
施設のプレールームに置いてある絵本は市立図書館から毎週数冊借りて閲覧をしている。
子供たちが一週間交代で貸出、返却の当番をしていた。
部屋ごとで、今週は智たちの部屋の番。
返却日は今日まで。
この様子では雅紀は出かけられない。
和也も勿論無理。
となれば智と翔で行って来るしかない。
「でも……雅ちゃん一人じゃさみしんじゃんか」
「おれでいいならそばにいる」
立候補の准一。
「ちゃんと面倒見たる」
申し出に甘える。
部屋に寝かされた雅紀の枕元に座る准一と和也。
お昼寝あとの和也は目がぱっちりと開いている。
いつもなら雅紀たちに遊んでもらうのだが、今日は遊び相手となる人物はいない。
准一を見上げてはうなだれる。
「なんか傷つくわぁ。おまえなんか遊び相手にもならんって言われてるみたいだわ、その目〜」
仕方なしに雅紀の髪の毛を触って遊び始める和也。
「……」
雅紀の瞼が動く。
「和也やめや、雅紀が起きるやろが」
うっすらと開いた目。
額にふっ付く程に顔を接近させる和也の頬を雅紀は突く。
部屋を見渡す。
智たちの姿が見えない。
途端に涙目になっていく雅紀に准一は慌てる。
「二人とも図書館に行ったんやで。俺と和也がいるから寂しくないやろ？」
口元がへの字になっていく。
「おれらで我慢してや〜、なー和也ぃ」
「うぃー！」
和也の頬を突いていた雅紀の手が准一に伸びた。
服の裾を握る。
体を伸ばす無理な体勢に、
「待て。こっちに座るわ」
枕元から横へ准一は移動する。
横向きで楽に服を掴める状態になった雅紀は安心したように眠りの世界へ。
取りあえず一安心。
「うーっ」
和也も准一の膝の上に登ると椅子代わりに座る。
2人ともなついてくれた？
嬉しい瞬間だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 609人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ。(プロフ) - ずっとずっと、この作品を、むつきさんを探していました。前に1度むつきさんのお話を読んだ時にお気に入り設定をしたのですが、そのアカウントがログインできなくなってしまい(記憶力のせい)新しいアカウントを作ってから探し続けてたんです！見つけられてよかった。 (2016年9月16日 23時) (
レス) id: cf8d713ce4 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - やみぃ〜さん» コメントありがとうございます。予定より壮大になっております！頑張りますので見守っていてくださいね！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はぴともさん» お返事遅れました。そして更新も遅れましてです（汗）一波乱の臭いプンプンでご披露させて頂きます！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
やみぃ〜(プロフ) - ありがとうございます。意外と壮大な話で申し訳ないです。でも応援しています。 (2016年9月7日 23時) (レス) id: 571eda6b98 (このIDを非表示/違反報告)
はぴとも(プロフ) - むつきさん更新ありがとぉ＼(^o^)／なにやらまた一波乱ありそうですね。スッゴい楽しみです。 (2016年9月7日 22時) (レス) id: d2f048c3cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むつき
| 作成日時：2016年4月20日 21時
