10話 話を聞かない人 ページ10
目の前に出された雑誌は……例の雑誌だった。
智と春子のスクープ写真。
春子のファンに和也が智と人違いされ、嫌がらせの原因を作ったあの雑誌。
再びこの雑誌に振り回されるのか？
「あのワタクシ智ではあり……」
「責任を果たしに帰ってきたんだな。さすがワシの孫だ」
「違います。ワタシは」
「電話を借りるよ」
理事長室内の固定電話の受話器を取る青田氏。
「ワシだ。迎えに来てくれ」
一言だけの通話。
ソファーに座りなおす青田氏に取りあえず持って来たお茶を置く。
「智、家の長となる者が茶を運ぶなどはしてはならん。女の仕事だ」
「今の時代男も女もないですよ。何度も言いますけど私は智ではな……」
「この後家に行く。準備をしなさい」
「行きません。僕はあなたの孫では…」
玄関から賑やかな声。
「迎えに上がりました！」
「え？もう！？」
あまりの速さに植草も驚く。
「あの青田さん。話を聞いてください。この子は智ではないんで……」
「お邪魔しまーす！」
元気な声と共にドアが開く。
図体の大きい二人の青年が部屋に入ってきた。
「早かったな」
「すぐそこで待機してたんす。いつも遅い言われるんで」
「では帰ろうか。智、来なさい」
「行きません。そこに行く用事なんて私にはありません」
「お前がこれから生きる店、家に案内する。グダグダ言わず来なさい。あぁ面倒だ、車に乗せてくれ」
「あっはい」
「ひえっ！」
一人の青年の肩に担がれる。
「お、降ろしてください！」
足をバタつかせるものの何の抵抗にもなっていない。
「青田さん、やめてください。この子は智ではありません」
「今更になって私をだまそうとしているのか？この子は智だ」
「騙そうとしているのではないです。本当にその子は智ではないんです」
「さぁ行くぞ」
話を聞こうとしない。
駆け寄り助けようとする植草の肩をもう一人の青年が掴む。
「そのまま私たちが外に出るまで掴んでいなさい」
力強くソファーに座らされる。
肩は掴まれたままで動けない。
立ち上がれない。
「これで失礼する」
「青田さん！犯罪ですよ！無理やりに連れて行くのは！」
「実の孫を連れて行くのに何の罪になるのかね？」
「理事長!まー兄に連絡お願いします。ワタシ連れて行かれたって!!」
「和也!」
青田と担がれた和也は部屋から出て行った。
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むつき(プロフ) - tthisamiさん» 遅くなりましたが再開いたしました。 (8月29日 21時) (
レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
tthisami(プロフ) - 再開嬉しいです。 (8月29日 20時) (レス) @page50 id: dba9116941 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はるさん» なかなか更新できずに申し訳ないです。少しずつですが頑張っていきますので！ (2021年3月30日 23時) (レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - むつきさん、更新ありがとうございます！とても嬉しいです。続きが楽しみです！ (2021年3月23日 4時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ちぇろさん» 5人が揃いました。北の地で兄弟たちの絆をお届けできたらと思います。 (2020年10月27日 0時) (レス) id: 7a3d8c34a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2019年8月2日 23時
