43話 釈放 ページ43
「智ちゃんはちゃんと俺を守ってくれたよ」
必死に雅紀は訴える。
どう智が助けてくれたかを説明をする。
夢中になりすぎて湖の端にいたことを。
智のことが聞こえて足を止められた。
その声がなければそのまま湖に落ちていた。
片足が濡れただけではすまなかっただろう。
「智ちゃんが声がなかったら完全に落ちていたよ」
智は雅紀の危機を回避したのだ。
まっすぐな目は嘘ではないことを物語る。
「まー兄を助けたなら我々は責めませんよ」
「そうだな。智君よく守ってくれたよ」
「お疲れ様智兄」
三人の兄弟たちは納得したようだ。
「取り調べはこの辺で終了。お疲れ様でした」
高らかに和也からの釈放宣言。
「終わり？良かったぁ智ちゃんまで怒られるかと思ったぁ」
「こってり絞られるかと思ったな」
「思ったぁ」
智と顔を見合わせてにっこりと笑う。
「隠しごとは絶対にできない。わかっただろう？」
「智ちゃん言うとおりだったよ」
「次は無いぞ雅紀。今回はこれくらいの説教で終わったけど次回はみっちりだからな」
翔の言葉に大きく頷く。
「ほら預かっていたカメラ。手入れするんだろ？」
「する！早速今から！」
風呂に入るからと翔に預けていたカメラを受け取り手入れのため自室に入る雅紀。
「……もう少し水分補給した方がいいですよね？」
ペットボトルの水を持つといそいそと雅紀の後を追う和也。
湖についていけなかった不服分を埋めに行ったのだろう。
「俺、雅兄の靴を洗うわ。生臭くなっちゃうだろうからさ」
甲斐甲斐しく潤は靴を洗いに車庫へ。
「お風呂頂きまぁす」
翔が風呂場へ消えていった。
一人リビングに残った智。
「……ほんと隠しごとはバレるんだぞ？」
小さく呟く智。
家の電話が鳴る。
受話器を取ると母、百合からであった。
「うん、みんな元気だよ。え？最近何か無かったかって？あると言えばあるな」
兄弟たちの様子がおかしい。
何がおかしいと言われたら自分と会話をするとき気を遣っているというかぎこちない。
いつもと違う。
「特に雅ちゃんが思い詰めている感じがあるんだよな」
大野兄弟で隠し事はできない。
今日の隠しごとも最近の何かを隠しているだろう事も。
「話したいことがあるの？近々こっちに来るんだな。待っているよ」
受話器を置く。
智は小さくため息をついた。
隠しごとはできないのです。
兄弟さんたち。
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むつき(プロフ) - tthisamiさん» 遅くなりましたが再開いたしました。 (8月29日 21時) (
レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
tthisami(プロフ) - 再開嬉しいです。 (8月29日 20時) (レス) @page50 id: dba9116941 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はるさん» なかなか更新できずに申し訳ないです。少しずつですが頑張っていきますので！ (2021年3月30日 23時) (レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - むつきさん、更新ありがとうございます！とても嬉しいです。続きが楽しみです！ (2021年3月23日 4時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ちぇろさん» 5人が揃いました。北の地で兄弟たちの絆をお届けできたらと思います。 (2020年10月27日 0時) (レス) id: 7a3d8c34a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2019年8月2日 23時
