25話 何故の嵐 ページ25
知り合いの話ですと二ノ宮夫人が語り始めた。
少し昔のこと。
自分の行いから愛する息子と離ればなれになった男がいました。
必死に子供を探すも見つけ出すことができずに二十数年の時が流れてしまいました。
ある日偶然に子供の行方が判明したのです。
父親は現在の子供のことを調べ、そして弁護士伝いに自分の元に帰ってくるように命令をしました。
語っていた二ノ宮夫人は深いため息をつく。
「記憶のない肉親から突然家に戻るように命令されて不信感を抱かない子供なんていませんよね」
子供の気持ちを理解できてなかった父親は何度も家に帰るように言い続けました。
無論弁護士を経由し。
子供が首を縦に振ることはなかったのです。
夫人の話に真剣に耳を傾ける青田夫婦の後ろで和也は複雑そうな表情を浮かべる。
これは自分の物語だ。
「……すいません拒否しちゃって」
小声で謝罪。
なんだかいたたまれない。
「和也その顔はやめよう。母は君を責めている訳ではない」
高哉はこっそりと和也に話しかける。
翔も背中に手を添えた。
「奥様の話を聞こう」
うなずく和也。
「拒否をされ続けた父親はやっと自分の足で子供へ会いに行きました」
赤子以来の再会。
「ほほう。では子供を引き取れたのですな」
「いいえ」
「何故です？」
感動の再会ではなかった。
「父親へ対する不信感は強く、心を開いてもらえなかったのです。散々人を使いコンタクトをとっていたのですもの、仕方はないですね」
会えなかった時間は長すぎた。
「弁護士を雇うくらいの地位ですよ？喜ぶしょう。今までとは全く違う生活が出来るのだから」
「子供は家も地位もいらない。自分とは無関係と受け入れませんでした」
何故？溢れる。
まったく理解できないといった様子の青田夫妻。
「答えは簡単です。その子は自分の足で自分の誇れる人生を歩いていたからです」
子供の人生に父親の存在はなかった。
今度は高哉が口を開く。
「では青田さん、二ノ宮の会社の仕事を手伝ってほしいと私からお願いされたらどうしますか？」
「とても光栄な誘いだが畑が違います。ワシには無理だ。呉服以外の仕事に興味はないのですよ」
「そういう事です」
人それぞれ価値観は違う。
興味も違う。
青田が地位を重んじるが、話の子供は地位に魅力など感じもしかなった。
やっと青田主人が黙り込んだ。
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むつき(プロフ) - tthisamiさん» 遅くなりましたが再開いたしました。 (8月29日 21時) (
レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
tthisami(プロフ) - 再開嬉しいです。 (8月29日 20時) (レス) @page50 id: dba9116941 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はるさん» なかなか更新できずに申し訳ないです。少しずつですが頑張っていきますので！ (2021年3月30日 23時) (レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - むつきさん、更新ありがとうございます！とても嬉しいです。続きが楽しみです！ (2021年3月23日 4時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ちぇろさん» 5人が揃いました。北の地で兄弟たちの絆をお届けできたらと思います。 (2020年10月27日 0時) (レス) id: 7a3d8c34a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2019年8月2日 23時
