24話 二ノ宮夫人 ページ24
二宮夫人が見せた冊子本にアツシとヒロシ兄弟は感激の声を上げた。
「これ大野先生手作りで10冊だけのプレミアムブックじゃないっすか！見せてもらっていいすか？」
「マジ感動！」
以前、和也が親愛の意味を込めて二宮夫人へプレゼントしたものだ。
婦人はいつも持ち歩いているらしい。
この様子にさすがの青田主人も口を閉じた。
これ以上墓穴を掘るわけにはいかない。
遊びのような仕事と見下した漫画家をお得様が崇拝し褒めている。
大切な名家お客様である奥方。
機嫌を損ねてはならない。
話を変えよう。
そうだ、智の兄弟というこの二人に本人を連れてくるように話をしよう。
今日は智を東京に呼ぶ為に行きたくもない施設まで出向いた。
施設の偉い人間に呼びつけてもらうつもりだった。
結果人間違いをし、彼を連れてきてしまったが。
ここにいるのは二宮家の四男、そして次男。
智ではない。
彼らに孫がここへ来るようにしてもらおう。
「話は変わるが、智は東京に頻繁に来るのかね？」
幼少の頃から大人の感情に振り回され世間の波にもまれまくった和也と翔である。
次に出てくる青田氏の言葉を瞬時に読み取り眉間にしわを寄せる。
「仕事次第です。頻繁な時もあれば北海道に籠もることもあります」
聞きたくない。
正直に思う。
翔がそれを聞いて耐えたとしてもきっと自分はふざけるなと罵倒してしまうだろう。
和也の体は力が入った。
「そうか、なら君らが智をここに……」
「そうそう今日はお話に来たのではなかったわ。お着物見立てに伺ったの」
少し甲高い声で二宮夫人が青言葉を言葉を遮った。
「息子に選んでもらおうとお供してもらったのだけど、和也さんと翔さんにも一緒に見立ててもらいたいわ。ご迷惑かしら？」
「僕たちでよろしければ」
「ご主人、反物を見せて頂いてよろしいかしら？」
言いかけた言葉を引っ込めるしかない青田主人は仕事へ取りかかる。
たくさんの反物を並べる。
これが終わった後にもう一度彼らに智の話をしよう。
「どれも素敵にね。翔さんはどれがお好き？」
「俺の好みですか？」
「いつも同じような生地を選んでしまうの。若い人のご意見も組み入れたいのよ、和也さんと高哉はどれかしら？」
三人が選んだ反物を購入。
「まだ少し時間もございますしご主人少し昔話を聞いてもらえないかしら？」
二宮夫人の話が突然始まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1258人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むつき(プロフ) - tthisamiさん» 遅くなりましたが再開いたしました。 (8月29日 21時) (
レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
tthisami(プロフ) - 再開嬉しいです。 (8月29日 20時) (レス) @page50 id: dba9116941 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はるさん» なかなか更新できずに申し訳ないです。少しずつですが頑張っていきますので！ (2021年3月30日 23時) (レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - むつきさん、更新ありがとうございます！とても嬉しいです。続きが楽しみです！ (2021年3月23日 4時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ちぇろさん» 5人が揃いました。北の地で兄弟たちの絆をお届けできたらと思います。 (2020年10月27日 0時) (レス) id: 7a3d8c34a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むつき
| 作成日時：2019年8月2日 23時
