21話 攻防戦 ページ21
自分の考えを変えない厄介な人種。
これ以上関わっていてもこちらの心に傷が増えていくだけ。
翔は早めに和也を連れ出そうと思った。
だが厄介な人種は自分たちを解放しようとはしなかった。
和也の口に負けプライドに傷がついたのか、仕事の次に今度は出生を非難し始める。
「君、年上に対しての敬いが欠如しているのではないのかね？施設では教育まで手が回らなかったとみえる」
と言った風に。
青田氏の言葉に和也の怒りは鎮火。
煽るつもりの言葉は冷静さを戻させた。
何度も言われた言葉であったから正気になる。
火に油ではなく水を注いでくれた。
「すみません。それは失礼しました。育ちが悪いものでワタシ。目の前の人に合わせて態度を変えてしまうもので」
いつもの和也節が帰ってきた。
「わかりやすく言えば、失礼な人には失礼で返してしまう癖があるんです」
「なっ！」
「コラコラコラコラっ和。煽るな、煽るな」
半笑で翔が止める。
「そ、育ちが悪ければ血筋も悪いんだろう？子供を捨てるような人間にまともな親がいるものか。この親にこの子あり、ろくな人間であるはずがない」
渾身の反撃のつもりで口にした言葉は、和也たちではなく二ノ宮夫人の顔色を変えさせた。
ゆっくりと青田夫婦の前に立つとまっすぐに見つめる。
「……ずっとお話を聞かせて頂きましたが……和也さんも翔さんもご兄弟の皆様もご立派な方々ですよ。親がいない、施設で育ったから不良だと決めるのは私たち大人の勉強不足ではありませんか？」
夫人の知り合いであったと思い出した青田は失言したのだと気がついた。
「お、奥様っあのお知り合いと先ほど伺いましたが……」
「お知り合い以上です。和也さんは」
「はっ？」
「和也さんの親は青田さんの言う通りろくな人間ではないのかもしれません。ですが、色々な事情があり結果的に離ればなれになった親子も世の中には存在しています」
和也は慌てた。
夫人は夫と和也の事を口にしようとしているのではないか？
秘密にしている訳ではないが自分は大企業のいわゆる隠し子的な立場。
わざわざそれを表ざたにすることはない。
だから慌てた。
慌ててしまった。
夫人と止めようと高哉に助けを求めつい言ってしまったのだ。
「お、奥様を止めてくださいお兄さん」
お兄さんと言ってしまいました。
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むつき(プロフ) - tthisamiさん» 遅くなりましたが再開いたしました。 (8月29日 21時) (
レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
tthisami(プロフ) - 再開嬉しいです。 (8月29日 20時) (レス) @page50 id: dba9116941 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はるさん» なかなか更新できずに申し訳ないです。少しずつですが頑張っていきますので！ (2021年3月30日 23時) (レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - むつきさん、更新ありがとうございます！とても嬉しいです。続きが楽しみです！ (2021年3月23日 4時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ちぇろさん» 5人が揃いました。北の地で兄弟たちの絆をお届けできたらと思います。 (2020年10月27日 0時) (レス) id: 7a3d8c34a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2019年8月2日 23時
