11話 運ばれていきました ページ11
「失礼するよ」
青田と担がれた和也は部屋を出ていく。
「君、手をどけなさい！警察を呼ぶよ！」
植草が肩を掴む男に怒鳴る。
「そんな警察なんて大げさな。孫なんだろう？」
「彼は違う。青田氏の孫ではない。人間違いだ！」
「え？」
廊下から青田の声がする。
「アツシ、行くぞ」
「あっハイ。今行く」
困惑の表情のアツシ青年。
「人違い？」
「そうなんだよ」
「あー……親父さん思い込んだら人の話を聞かなしなぁ」
手を放す。
「今は誰の話も聞かないと思うよ……後でちゃんとここに送り届けるから」
今は連れ行かないとどうしようもないと項垂れる。
ガタイは大きいが人は良いようだ。
「俺アツシっていいます。もう一人は弟のヒロシで。親父さんの近所に住んでいてたまに車を頼まれて足になってるんだけど。怪しいモンじゃないっすから」
「アツシ、油を売っているんじゃない。早く来なさい」
「今行くよ！」
丁寧にお辞儀をして出ていく。
一瞬呆然としてしまった植草は、
「か、和也！」
慌てて廊下へ飛び出す。
子供たちが廊下で唖然としていた。
「和にーちゃんが連れてかれた……」
「お荷物みたいに持ってかれた」
玄関に姿はもうなく、靴も履かずに植草は外へ。
一台のワゴンタイプの車が門の前に止まっていた。
和也は後部座席に運ばれ、青田氏は助手席に乗り込んだ。
先ほどのアツシという青年は和也の隣に座り、ドアを閉める時に植草の姿を目にすると小さく頭を下げる。
車のドアは閉められた。
市橋水道屋という会社名を大きく塗装した車がゆっくりと発進する。
和也が連れて行かれてしまった。
「和也……取りあえず雅紀、雅紀に連絡をしなくては」
智君に間違えられ連れて行かれてしまった和也君。
青田と言う老人を調べるために訪れただけなのになんという展開。
「まー兄ぃ、私知らない人のお家に連れて行かれるぅ」
けれど考えようによっては詳しく青田家を知る絶好のチャンス。
和也君は肝を据えるのでした。
ただ……。
「私後でどう帰りましょう……靴……履いてこられなかった……」
ちょっとだけ途方に暮れるの巻き。
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むつき(プロフ) - tthisamiさん» 遅くなりましたが再開いたしました。 (8月29日 21時) (
レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
tthisami(プロフ) - 再開嬉しいです。 (8月29日 20時) (レス) @page50 id: dba9116941 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はるさん» なかなか更新できずに申し訳ないです。少しずつですが頑張っていきますので！ (2021年3月30日 23時) (レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - むつきさん、更新ありがとうございます！とても嬉しいです。続きが楽しみです！ (2021年3月23日 4時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ちぇろさん» 5人が揃いました。北の地で兄弟たちの絆をお届けできたらと思います。 (2020年10月27日 0時) (レス) id: 7a3d8c34a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2019年8月2日 23時
