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女の子がみんな騙されるにこやか笑顔の奥に
目力が発する無言の圧力を感じる。
「…あ、はい。櫻井翔です。
よろしくお願いします。」
けれどさすがの翔くんは
育ちの良さが分かる綺麗なお辞儀。
そんな真面目に返事しなくていいのにっ！
「…で！潤くん何か用事なんじゃないの？」
気まずいし落ち着かないしで
ツンツンした言い方になっちゃうのは
それはもう仕方がないと思ってほしい。
とにかく一刻も早く潤くんに
この場を去ってほしいと願うあたし。
でもって恐ろしいほどの目力に負けるのも
お馴染み過ぎて…もー…。
なんか怒ってるし。怖いよ潤くん…。
「今日おばさん帰り遅いって。
つーことで、お前うちでメシだから。」
ほら帰るぞって急に潤くんが腕を引っ張るから
砂利に靴先が引っかかって転びそうになる。
「…んと、ドンクサイな。」
でもそんなこと潤くんにとっては想定範囲内で。
慌てることなく差し出された反対の腕に
すっぽりまるっと収まってしまって。
こけそうになってる自分も
潤くんの腕の中にいる自分も
それを翔くんに見られてることも
全部が全部はずかしくって体がぎゅって縮む。
上から見下ろしてたらしい潤くんに頭を叩かれ
“んじゃーな”って向けられた声にハッとする。
潤くんが見据える視線の先には
ぴしっと固まってる翔くんがいて。
「あっ、やっ、あの！違うからっ！」
潤くんの無駄に固い胸板を押して
体から遠ざけるように突っ張る。
いやいや、違うからってなに？
口走る自分の言い訳もよく分かんない。
ていうか！！
そもそも言い訳するようなことなんてない！
「あのっ翔くん！なんかごめんね！！
送ってくれてありがとうっ
ま、またっ！明日ね！ごめんね！」
おかまいなしにズイズイっと歩き始める潤くんに
ベンチの前にじーっと立ったままの翔くん。
そして叱られた子供が引きずられるみたいに
手首を掴まれヒョコヒョコと後ろを歩くあたし。
はぁ。
なんかもう状況がよく分かんないよ。
それにしても今日の潤くんは一段と…
過保護な暴君天使の背中を見ながら
なんだか情けない気持ちでいっぱいだった。
＊
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でこぼこ(プロフ) - 櫻宮さん» ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉(о´∀`о)単純な作者なので、きっと今日明日にはまた何話かUP出来ると思います（笑）最後まで是非お付き合いください(^^) (2019年11月8日 10時) (
レス) id: deca25d402 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 実はこういったお話が凄く好きで不器用だけど真っ直ぐな皆とか何か確執みたいなものを抱えているとか…でこぼこさんの作品をもっと読みたいと思いました！ (2019年11月6日 10時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
でこぼこ(プロフ) - 櫻宮さん» コメントありがとうございます(*^^*)あやふやな関係やふわふわした感情に翻弄され気味の主人公が、嫌われたら可哀想だなと思っていたので、愛おしいと言って貰えたことがとっても嬉しい！櫻宮さんの言葉を励みに、また書き進めていきますね(´∀｀*) (2019年11月5日 16時) (レス) id: deca25d402 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 皆不器用だけど真っ直ぐで…そんなあやふやな位置関係にいる主人公が健気で愛おしくて好きです。早く次が読みたい！ (2019年11月5日 12時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でこぼこ | 作成日時：2018年11月29日 14時
