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…あれ？
教室のドアをそそっと開けたら
そこに待ってるはずの翔くんはいなくって。
代わりになぜか
翔くんの机で突っ伏して寝てる大野くんがいた。
室内を見回したらまだ鞄はあるから
まだ帰ったわけじゃないみたい。
どうしようかなって迷ってたら
大野くんがむくっと起き上がって目が合った。
「翔くんね、職員室。」
「え？あ…そうなんだ？ありがとう。」
ふにゃんと柔らかい笑みをみせたあと
今度は顔を横向きにしてやっぱり目を瞑る。
あ、また寝るんだ。笑
しばらく待ってようって自分の席にそっと座る。
大野くんは普段個人的にはあんまり話さないけど
翔くんと仲が良いから喋らないってこともない。
いつもどこかゆったりとした癒しを放っていて
彼だけまるで時間の早さが違うみたい。
翔くんが努力家という才能なら
大野くんは天賦の才って感じだ。
校庭をぼんやり眺めてたらふと視線を感じて
教室内の方に首を回すと大野くんと目が合った。
え、いつから見られてたんだろ？
「えぇっとー…？」
「…ふふっ。翔くんってばさ
Aちゃんばっか、見てるよねぇ。」
急に歌うように話すから一瞬聞き流しそうになる。
おまけに脈絡がなくて何だかよく分からない。
「そ…んなことないと、思う…けど？」
「翔くんはさ、いいやつなんだよねぇ。
でも、Aちゃんもね？いい子じゃん。」
大野くんの話し声は大きくないはずなのに
透き通るような美声は軽やかに教室に響いていて
相槌さえも忘れて聞き入りそうになる。
「どっちかが悪いぐらいのがさ、
案外うまくいったりすんだよね。ふふ。」
「…どういう意味？」
意味を図りかねてあたしが聞くのと
大きな音を立ててドアが開くのが同時だった。
暑苦しい風が抜けてカーテンが音を立てる。
「あっ！Aごめん。結構待たせた？」
そう言いながら入ってきた翔くんの手に参考書。
真面目だなーなんて今更ながら思う。
「ううん。大丈夫だよ。
こっちこそ待たせてごめんね？忙しいのに。」
「いや、勉強してたし問題ないよ。
ていうか智くん、まだいたの？」
「んふふ。寝てた。」
「しかもそこ俺の席じゃね？」
大野くんや他の友達と話すときの口調は
あたしといるときの翔くんとはちょっと違う。
それが寂しく感じるのは何でなんだろう。
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でこぼこ(プロフ) - 櫻宮さん» ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉(о´∀`о)単純な作者なので、きっと今日明日にはまた何話かUP出来ると思います（笑）最後まで是非お付き合いください(^^) (2019年11月8日 10時) (
レス) id: deca25d402 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 実はこういったお話が凄く好きで不器用だけど真っ直ぐな皆とか何か確執みたいなものを抱えているとか…でこぼこさんの作品をもっと読みたいと思いました！ (2019年11月6日 10時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
でこぼこ(プロフ) - 櫻宮さん» コメントありがとうございます(*^^*)あやふやな関係やふわふわした感情に翻弄され気味の主人公が、嫌われたら可哀想だなと思っていたので、愛おしいと言って貰えたことがとっても嬉しい！櫻宮さんの言葉を励みに、また書き進めていきますね(´∀｀*) (2019年11月5日 16時) (レス) id: deca25d402 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 皆不器用だけど真っ直ぐで…そんなあやふやな位置関係にいる主人公が健気で愛おしくて好きです。早く次が読みたい！ (2019年11月5日 12時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でこぼこ | 作成日時：2018年11月29日 14時
