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【手のひらに魔法を乗せて - S.S 】1 ページ45
＊
「じゃあ私が悪いってこと？」
「んなこと言ってねぇだろ！！」
「そう聞こえるよ。」
「はぁ？…っざけんなよ。
勝手に勘違いしてんのそっちじゃね？」
「…もういい。」
ふいに遠ざかる小さな背中。
携帯と財布を手にしたのが
動く影の様子で分かる。
廊下をスリッパが走る音。
バタンと閉ざされた鉄のドア。
重い。
重てぇんだよ。
くそっ。
投げつけたクッションは
分厚いカーテンに阻まれ
床にボトンと情けなく落ちた。
大したきっかけじゃなかったはずだ。
怒鳴るようなことでも
ケンカするようなことでも。
なのに
ほんの些細な出来事が
あっという間に膨れ上がり弾ける。
俺のせいだろ？
俺が悪りぃんだろ？
分かってんだよ。んなことは。
でも口が悪りぃのは
今に始まったことじゃねぇし。
知ってんだろ？
売り言葉に買い言葉は
生まれ持った性分なんだよ。
そっちが大人になってくんねーと
謝り方も分かんねぇよ。
＊
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作者名：でこぼこ | 作成日時：2017年3月5日 1時
