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【棘にご注意 − A.M 】2 ページ39
＊
あの日
僕の右横に立つ君に
たくさんの棘がとんできた
僕の目の前で
ザクザクと君に刺さってくソレ
だけど君は
真顔でソレを受け止めた
痛くないわけがないのに
どうして君は立ってられるの？
その強さはどこからくるの？
笑っていれば
きっといいことがあるって
ずっとそうしてきた僕と
笑いたくもないのに笑えないって
いつも真っ直ぐ真剣な君
君から見たら
僕はきっと
バカみたいなんだろうけど
分かってたけど
とっさに伸びた右腕
右半身に感じる体温
そっと添えた君の背中
微かに震えるのに気付いて
僕の指先も小さく震えた
拒絶は怖くなかったけど
軽蔑はちょっと怖かった
みんなの視線が
別の場所に移った頃
離すタイミングを失った右腕は
まだ熱に触れたままで
君の視線が
僕に刺さった
そこに軽蔑はない気がして
ほんの少し力が抜ける
ごめんねって
手を離そうとした時
君が
君の目が
君の口が
ふんわりと弧を描いた
笑いたくもないのに笑えない
そう言った君が
僕に笑ってくれた
君が僕を刺すソレは
ズキズキじゃなくって
ザクザクじゃなくって
ズキューン、だ、ね？
＊
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作者名：でこぼこ | 作成日時：2017年3月5日 1時
