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【優しい泡 − M.J 】4 ページ14
＊
「だってじゃねーだろ。
また倒れたらどーすんの？
Aさんすぐのぼせるじゃん。」
心配で口うるさく言う俺を
肩をすくめて流すのもいつものこと
この人を見てると
仮にもストイックと評される俺が
もしやお遊びなんじゃないかとたまに思ったりする
「早く上がんねーと俺も入るよ？」
すでに洗い終わってるのを確認してそう脅すと
今すぐ上がります！と慌ててAさんが宣言した
入れ替わるように風呂に浸かって
見様見まねで懸垂をしてみると
お湯が少ないからか思いのほか浮力がなく
しっかり腕に負荷がかかる筋トレで
…つーか蓋は大丈夫なのか？
ジムに勤めるAさんは
仕事あがり日常的にトレーニングしてるのに
一体どれだけ自分をいじめれば
あの人は気が済むんだか
でも
とにかく手を抜くことを知らない
あの人の存在こそが
今の俺を作ってるんだって分かってんのかな
俺と乾杯するために残してた
あのまったく泡のないビールを思い出して
顔の半分まで浸かったまま笑ったら
ぷくぷくっと優しい泡が浮かんで消えた
Fin.
＊でこぼこ＊
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作者名：でこぼこ | 作成日時：2017年3月5日 1時
