【ホンモノの灯り - N.K 】2 ページ2
＊
テッペンをとうに回ったドラマ撮影
車から家までの
ほんの短い距離でさえ重たい足
それでも進める一歩は
だんだんと加速する
当然チャイムは鳴らさない
音を立てぬようそっとドアを開けたら
漏れるリビングの明かりに頬が緩む
着替えるため先に寝室へ寄ると
乱れきっていたはずのベッドも
時間ギリギリで朝脱ぎ散らかした服も
お行儀よくオレを迎えてくれた
ガラにもなくドキドキしながら
明かりの灯るリビングへ入ると
猫みたいに蹲るキミを見つけた
モコモコとした部屋着で
オレの薄いTシャツを抱えて眠るキミ
ゆるゆると少しずつ
自分の鎧が解けていく
少し赤みの射すほっぺを
テーブルの空き缶が物語る
それでも香るのは
嗅ぎ慣れたシャンプーで
「ただいま」
顔全体を覆う長い髪をかき分けると
ぐっすり眠る愛しいキミが現れた
しいて言うなら
起きてるキミが良かったけれど
この際贅沢は言ってられない
久しぶりに見る大好きなその顔は
…ほんの少し丸くなった？
なんて
寝てるキミにじゃなきゃ
言えないけどね
いやいや
ぶすっと膨れたキミも
やっぱり愛おしいわけだから
別に口にしてみたっていいのか
そうは言ったものの
たったの3週間ぶりなんだよ
んでも
こんなに待ち遠しいんだから
たったの、とは言えないよね？
「…待ちくたびれました？」
返事がなくたって
ここにいてくれるそれだけで
オレの心は満たされるんだ
夕日のような暖かい色が
心にじわじわと染み渡る
明日は久しぶりのオフなんだから
満足するまで充電させてよね
＊
【ホンモノの灯り - N.K 】3→←【ホンモノの灯り - N.K 】1
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：でこぼこ | 作成日時：2017年3月5日 1時
