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「花嫁、逃げたらしいな」
いつの間に俺を見つけたグルッペンは、「それ消せ」と言いながら俺に話しかけた。大人しく煙草を消す余裕もない俺は、グルッペンの言う事を無視する。
「お前このままでええんか？」
「…Aさんの意思や。俺が引き留める権利なんてあらへん」
「お前らしい返答だな。それでお前は後悔しないのか？」
「……」
図星だった。
その問いに答えられなくて黙っているしかない俺に、グルッペンは言葉を続ける。
「図星って顔だな」
「あかんか？」
「いいや。だが…。……そうだな、ろくに青春の一つもしてないお前の恋が、やっと形作って実るところを俺は見たかったがな」
形作って実る？ 俺の恋が？
グルッペンお得意の言い回しに頭を悩ませる。頭の中でいろんな解釈を出すが、これだと言うのは全く出ない。
「何やそれ…」
「嘘なんかついてないで正直になれって事だ。そしたら後は流れに乗るだろ。まぁ、正直になるかならないかは自分で選択しろ」
グルッペンはそう言い残すと、俺の肩をポンポンと叩いてバルコニーから出て行った。
「正直にって…。意味わからんなぁ」
俺は相変わらずバルコニーで煙草を吸い続ける。
グルッペンから出された簡単な問題が難題に感じてしまうのは、俺がろくに青春というものをして来てこなかったせい。
けれど、グルッペンに正直になれと言われたら、何だかそうせざるを得ない感覚を覚えてしまう。
「…これで本当にダメやったらどうしてくれるんやろな」
とうに短くなった煙草を消して、俺はバルコニーから飛び出した。
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鯉口(プロフ) - 赤羽 紫音さん» コメントありがとうございます！ (2020年4月4日 3時) (
レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 紫音 - 凄い！ (2020年4月4日 2時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鯉口(プロフ) - ノアさん» 主催者の鯉口です。コメントありがとうございます(*^^*)まだまだ続きますので更新をお待ちください！ (2020年2月29日 1時) (レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
ノア - めっちゃ好きです！ 文才分けて欲しいぃ((( 毎日、楽しみにさせてもらってます！ 更新頑張って下さい！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: 47bc0266fa (このIDを非表示/違反報告)
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