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「その後の月の動向は?」
「ロボロの迎撃で霧散。
けが人は一人。……で、そのけが人って言うのが……」
「お前か。チーノ」





 金糸を編んだような髪に、赤目の男は正面へ視線を向けた。




 彼の目の前には先ほど医務室で横になっていたチーノが立っていた。
先ほどの、コネシマを相手にした時と同じ曇った表情で、金髪の男を見ている。




 金髪の男の横には、背の高い黒髪の男がいた。
長くて赤いマフラーを巻いて、軍帽を深くかぶったその男からは、眼鏡のレンズを通して懸念の視線が向けられている。




「また外に出ていたらしいな」
「……検問の手伝いにちょっと」
「今日は城下の見回りの仕事だったはずだが?」



 ぅっ、と小さく唸ったチーノは、視線を金髪の男から外したが、男はずっとチーノを見ていた。
黒髪の男は短い息を吐いて、軍帽のつばをつまむ。




「お前は軍人でも騎士でもないだろう。戦争に出る必要がどこにある?」
「俺はこの本部の幹部です。
襲来と聞いて、いても立ってもいられなくて……」
「それでこの結果だろう。もう何回目だ」
「……100?」
「250回や……」




 黒髪の男が小さい声で返した。




 250回。
つまりチーノは、今まででそれだけ医務室にお世話になっているということだ。




「お前は軍人じゃない。
もう一度言うぞ。お前の仕事は戦うことではないんだ」
「でもグルッペンさん!
俺だって、ようやく幹部に昇格したのに、その仕事が幹部補佐と変わらないなんて納得いかないですよ!」




 金糸の、もといグルッペン、と呼ばれた男は、ようやくチーノから視線を外した。
不服を述べるチーノが今度は強い視線を彼に送るが、グルッペンは首を縦に振らない。







「俺がお前を役職につかせたのは、前幹部の穴を埋めるためだ。
前の幹部が何の仕事をしていたかは説明されただろう。
それとも、50年前のことなど忘れたか?」

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鯉口(プロフ) - あきらさん» コメントありがとうございます!最初の注意事項の項目を読んで察していただけると幸いです (2022年7月20日 0時) (レス) @page1 id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 宝石の国、、、、?あっいつも見てます頑張ってください (2022年7月19日 18時) (レス) id: 59a8197af5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鯉口 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年5月17日 0時

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