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始め、それは病気と結論づけられた。
感染経路は不明。
原因不明の不治の病とされたそれは、少しずつ、少しずつ生き物の身体を蝕んでいった。
人間に限らず、家畜や野生動物にまで及んだその病は、疫病と一口に片付けられるほど、易しいものではなかった。
その病気の症状は、前触れがなかった。
突然、身体全体が宝石と化すのだ。
それはそれは美しい透明な光を放ちながら、たちまち腕や顔も全て、私たちがよく知る石となるのである。
次から次へと、人からの伝染の様子は一切ない。
突如として現われるのだ。
昨日話した友人。目の前で笑う少女。
目が覚めた早朝。その変化は突然起こる。
視覚も聴覚も異常はなかった。
しかし、空腹と温度、痛覚などの感覚が失われてしまうのだ。
治す術が見つからないまま病に怯えて、次第に全ての人類が石となったとき、ようやく人類はこの病の正体に気づく。
月だった。全ては月だったのだ。
私たちが石に、宝石になってしまった原因は月にあるのだ。
「とある旅人の手記1」
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鯉口(プロフ) - あきらさん» コメントありがとうございます!最初の注意事項の項目を読んで察していただけると幸いです (2022年7月20日 0時) (レス) @page1 id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 宝石の国、、、、?あっいつも見てます頑張ってください (2022年7月19日 18時) (レス) id: 59a8197af5 (このIDを非表示/違反報告)
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