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「お見舞い、行くんやけど。チーノも行く？」
お見舞い、と聞いて、チーノはピクリ、と反応する。
「……おん。行く」
「……では、何か思いついたら伺いますね」
何かを察したエーミールが、机に広げた本を片付けながら言った。
「あ、すみませんエミさん。お願いします」
「いいんですよ。……行ってあげてください」
「たまには顔を出してもいいと思いますよ。
今は多分、暴れたりしないと思います」
ショッピがエーミールに言った。
お見舞い、と聞いて少し静かになってしまったエーミールは、困り眉でいいえ、と断る。
「私も行きたいんですけれど……どうも難しくて。
多分、体質のせいなんだと思います」
「そうですか。まあ、無理は言わないんで。
もし出来そうだったら、会いに来てくださいね」
「はい。……よろしくお願いしますね」
エーミールに見送られて、チーノとショッピは歩き出した。
「エミさんも大変ですね。普段は悪い体質なんかじゃないのに」
「そやねぇ……。まあ、鉱物特有の、根本的な問題なんかな」
頭の後ろで両手を組みながら歩くチーノの隣で、ショッピはぼんやりとした目をしていた。
ショッピはチーノと同期だった。
所属は元々陸軍だったが、今はチーノのように雑用もやれば、戦争にも出るという、少し曖昧な立ち位置にいた。
チーノと同時期に幹部入りしたショッピは、最初は有能な陸軍兵士であったが、とある事情で、今はその仕事を休んでいる。
現在は例のお見舞いをすることが仕事に近しいことだった。
「元気なん？ 先生」
「さぁ。生きてはいます」
「冷た……。そりゃ死んやあれへんやろうけど」
「俺にとっては、もう毎日のようだから……。全部同じに見えんねんで」
ぼそり、と小さく呟かれた言葉に、チーノは視線だけを向けて何も返さなかった。
しばらく無言で歩いていれば、官邸とは離れた建物についた。
医療棟とはまた違った、少し古い建物だった。
建物内に入って、階段を上って二階。
長い廊下の一番奥に、その部屋はあった。
黒い日焼けした扉には、鍵がついている。
夜になったら締める鍵穴だった。
ショッピがちらっとチーノを一瞥する。
チーノも無言で小さく頷いた。
ドアノブに手を伸ばし、ゆっくり回す。
息を一つ吐いて、ショッピは扉を開けた。
「鬱先生、入りますよ」
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鯉口(プロフ) - あきらさん» コメントありがとうございます！最初の注意事項の項目を読んで察していただけると幸いです (2022年7月20日 0時) (
レス) @page1 id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 宝石の国、、、、？あっいつも見てます頑張ってください (2022年7月19日 18時) (レス) id: 59a8197af5 (このIDを非表示/違反報告)
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