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このティエラ帝国には、いくつかの小さな国があり、支配される上での反感を抱きかねない者もいないわけではない。
貴族派の思惑通りに行かぬよう、グルッペンは皇帝派という味方を増やし、隙を一切見せなかった。
そんな貴族派の彼らが、今までグルッペンに対し文句という皮肉を浴びせてきたというのに、今では大人しいというのだ。
怪しい、と目つきを鋭くさせるチーノがあごに手を当てて考えていた。
「巡回は増やした方が良さそうですね。
さっそくグルッペンさんに伝えてきます」
チーノが立ち上がった。
彼の表情は、数日前の、落ち込んで仕事に駄々をこねた者の顔つきではなかった。
エーミールはそんな彼の顔を見て、根は真面目なのだと改めて思う。
「……あ、そうだ」
書斎の扉の前で、チーノが立ち止まって振り返った。
エーミールがどうしたのか、と視線を投げると、チーノは恥ずかしそうに頭に手を当てて笑った。
「俺も、ついタバコに手を伸ばしちゃうんですよね。
吸えないのは分かっとんのに」
エーミールは一瞬、呆気にとられた。
そしてすぐに吹き出して、そうですね、と言う。
「私もですよ。
もう、とうに香りも味もなくなってしまったものを、捨てられずにいるんです」
エーミールの手の中には、しわしわになって香りも味も抜けてしまった古いタバコがあった。
箱の封は切られていて、もう数十年は経っているであろう、今は作られなくなったタバコの箱だ。
彼は大事に大事に、保管していたらしい。
「人間に戻ったら、一番に吸ってやるんですよ」
「きっと味もしないし、古いのは身体に悪いんとちゃいますか？」
「新しかろうと不健康なのは変わらないので。
それに、なんか思い出深いじゃないですか」
「ははっ！ そうですねぇ」
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鯉口(プロフ) - あきらさん» コメントありがとうございます！最初の注意事項の項目を読んで察していただけると幸いです (2022年7月20日 0時) (
レス) @page1 id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 宝石の国、、、、？あっいつも見てます頑張ってください (2022年7月19日 18時) (レス) id: 59a8197af5 (このIDを非表示/違反報告)
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