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Aと別れてから、俺はかなり荒れた。
女遊びも激しくなったし、夜遊びなんてしょっちゅう。
仕事はちゃんとこなしてたけど、それでも満たされる日なんて全くなかった。
松村「 そろそろ、やめときなさいよ。 」
「 何が？ 」
松村「 ストレートに言っていいわけ？ 」
「 …別に、好きでやってんだし。 」
周りから注意されることはあってもやめられないのは、そうでもしてないと頭がおかしくなりそうだったから。
Aとは仕事やレッスンが同じになることもあったけど、お互い目も合わせない。
森本「 みぃ、〇〇に告られたらしいよ。 」
京本「 まじ？ 」
森本「 まじ。まあ、断ったらしいけど。 」
高地「 最近あいつまたモテ始めたね。 」
少しずつ、確実に俺たちの距離は離れていく。
いつものように女と遊んで、朝帰りの状態でレッスン場に足を運べば、そこには既にAがいた。
『 あ…えっと、おはよう。樹くん。 』
みんながいると声をかけてこないのに、今日は完全に目があってしまったからか、少し微笑んで挨拶してきた。
その瞬間、ぐっと胸が苦しくなる。
別れて少しした時、風磨から言われた。
菊池「 どんな気持ちでお前と離れることにしたのか、ちゃんと考えろよ。中途半端なことするなら、2度とみぃに近づくな。 」
あいつも、惚れてるのはわかってた。
あんな決断をさせたのが俺でも、Aがいない時間の方がよっぽど苦痛で、嫉妬してた時間を受け入れる方がよっぽど楽だった。
それに気づいた今でも、自信がなくて
また泣かせてしまうくらいなら…なんて考えたりもして。
『 …樹くん？ 』
「 …っ、ごめ、俺…なんで泣いてんだろ。 」
色々考えてるうちに、自然と流れてきた涙。
自分からする違う女の香りも、何もかもが情けない。
座り込んで泣きじゃくる俺の前に近づいてきたAの細い腕が、背中に回ってくる。
「 …みぃ、っ、 」
そのまま胸元に顔を埋めるように強く抱き寄せれば、手のひらが頭に触れて、優しく撫でてくれる。
『 小さい子みたいだね。 』
「 …うるせぇ、 」
愛しい声が頭上で響く。
『 樹くん。 』
「 …なに？ 」
『 わたしのこと…嫌いじゃ、ないよね？ 』
嫌いになるなんて、無理に決まってんだろ。
質問の答えの代わりに、下から掬うように唇を重ねれば、一気に満たされていく気がした。
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作者名：moi | 作成日時：2024年3月26日 23時
