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- fuma side
いつかは付き合うだろうな。って感覚はあった。
高校生になった2人が、同じ制服を着て歩いてる後ろ姿を見た時に、「 こいつらなら、ずっとこうして歩いていくんだろうな。 」って。
_ 🎵
仕事を終えて帰ってきたタイミングで、着信を知らせた画面を見れば、そこには ' A ' の文字。
21時。
こんな時間にかけてくるってことは、よっぽどなことなんだろう。
菊池「 A？どした？ 」
『 …っ、ふま…くん、 』
菊池「 今、どこいんの。 」
脱ごうとした靴にストップをかけて電話の向こうで泣きじゃくるAから聞き出した場所に向かえば、座り込んでる小さな身体。
菊池「 A…！ 」
『 っ、…風磨くん。 』
名前を呼べば、涙をぼろぼろに流しながら細い腕が伸びてくる。
そのまま抱き締めると、身体が冷たい。
『 …っ、わたし、…、あのね、っ、 』
菊池「 ゆっくりでいいから。 」
こんな姿を見たのは、いつぶりだろう。
落ち着かせるように背中を優しく撫でて、ゆっくりと話してくれる声に耳を傾ける。
…あのバカ、まじで何やってんの？
付き合った時、泣かせんなって散々言ったのに。
菊池「 大分落ちついた？ 」
『 うん…ごめんね？風磨くん、お仕事だったのに。 』
菊池「 いいよ。お前が困ってんなら助けるっていつも言ってんじゃん？ 」
やっと落ち着いたAと歩く夜道。
人通りはあるけど、被ってるフードと暗さのおかげで誰も俺たちを気にも留めない。
最近の2人が見るからに状況が良くないことは、周りからも聞いてたし、俺もなんとなくやばい気はしてた。
それでも、その決断を下したのが…まさかAだとは。
『 樹くんが大好きだから…決めたの。 』
不安なあいつの気持ちもわかる。
これだけ可愛くて、愛らしくて、男心を擽る子はなかなか居そうでいない。
男が放っておかない。
だけど、こんなに真っ直ぐな目をして、お前の名前を呼ぶだけで愛おしそうにする。
…そんなん、誰も勝てるわけなくね？
菊池「 なあ。 」
『 ん？ 』
菊池「 樹のどこが好き？ 」
足が止まって、悩む間もなく向けられる綺麗な目。
『 ありきたりだけど、全部好き。 』
ほらね、樹。
やっぱ、お前が手繋いでやんないと。
またこいつ、迷子になっちゃうじゃん。
菊池「 あいつ愛されてんな〜。 」
俺が強がれるうちに、迎えに来てやってよ。
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作者名：moi | 作成日時：2024年3月26日 23時
