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ずっと「 幼馴染 」みたいな存在だった。
事務所で極秘にレッスンさせられてた時、たまたま帰り道で迷子になってたわたしを見つけてくれたのが、樹くんだった。
「 なあ、迷子？ 」
『 え…あ、うん。駅って、どっち？ 』
「 俺らもそっち行くから、一緒行こ。 」
その頃は、まだ小さかった樹くん。
風磨くんも隣にいて、わたしの手を引いて歩いてくれた背中を今でもよく覚えてる。
それがいつしか大きな背中に変わった頃、気持ちの変化があった。
「 今日、1人で帰れる？ 」
高校に入学した後から、樹くんは目に見えてモテるようになった。
女の子からのお誘いは絶えないし、来るもの拒まずだったから、色んな子と遊んでいて、会えない日も多くて。
『 うん、大丈夫。 』
「 なんかあったら電話して。 」
校門を抜けたところで、そう言ってわたしの頭を撫でた樹くんは、別の女の子とタクシーに乗り込む。
そんな姿を見ながら、痛む胸には気づかないフリをした。
事務所にいる以上はそばにいられる。
そう…言い聞かせて。
「 みぃ、もっかいしていい？ 」
あの日、キスされたときも揶揄われたんだって思ってた。
樹くんがどんなに可愛いと褒めてくれても、優しくしてくれても、もやもやしたまま。
キスから数ヶ月。
何も進展はなくて、でも樹くんは前よりも一緒にいてくれるようになった。
そんなある日、風邪をひいたわたしに会いに来てくれた樹くん。
「 体調どう？ 」
『 だいぶ楽になったよ。 』
「 ゼリー食う？ 」
『 うん、ありがとう。 』
ベッドに腰掛けて、「 ほら。 」とゼリーを口に入れてくれる樹くんを見ながら、彼女にもこんな風にするの？とか、色んなことを考えた。
「 みぃ、ぼーっとしてんじゃん。まだ熱あるんじゃねえの？ 」
気づいたら目の前に顔が近づいてきてて、おでこに触れる手が少しひんやりする。
好きだなあ…なんて思ってたら、気づいた時には
「 …え、？ 」
『 すき。 』
キスしてた。
『 樹くんが…すき、なの。 』
ぽかんとしてる樹くん。
せっかく買ってきてくれたゼリーが今にも溢れそうで、慌てて掴もうとしたら、その腕を逆に掴まれた。
「 本当にさ…勘弁して。 」
顔をあげれば、頬に手が触れた。
「 可愛すぎて俺死にそうなんだけど。 」
甘い声と、重なった唇。
ねぇ、樹くん。
期待してもいい？
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作者名：moi | 作成日時：2024年3月26日 23時
