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全ての馴れ初めを話すには時間が足りないから後々として、好きだと自覚したのは高校生の時。
それまで ' 極秘 ' 扱いだったAが、世間に公表された後だった。
「 …みぃさ、めっちゃ可愛くね？ 」
菊池「 は？ 」
「 天使っていうか、なんつーかさ。 」
菊池「 今更だろ。出会った時から可愛いじゃん。 」
森本「 完全に恋してる顔だよね〜樹。 」
これが、恋愛フィルターというのか。
何をしてても可愛いし、愛おしくて、自然と目で追ってた。
堀越に同時入学して、恋愛禁止だなんて言われてたけど、それでも「 俺のものにしたい。 」って感情は増すばかりで、いつも他の男たちに牽制して回ってた。
' 美井に近づくなら、俺の許可とって。 '
何も知らない本人は、『 わたし全然モテないよ。 』なんて女子に話してたけど、違うんだな〜それ。
俺のせい。
いや、俺のおかげか。
『 わ〜、天気いいね。 』
「 みぃ、弁当の中身なに？ 」
『 樹くんが好きなのだけ入ってるよ。 』
「 流石じゃん。 」
ずっと一緒にいるのが当たり前になってたから、休み時間もサボりも一緒。
たまにこっそり作ってきてくれる弁当で俺の胃袋をがっしり掴んでて、ママ以外で初めて手料理が許せる相手になった。
『 美味しい？ 』
「 めっちゃうまい。 」
『 よかった。 』
屋上でサボって、Aの隣に居られる時間は幸せで、たまにきょも達がくることがあっても、弁当は俺だけ。
その特別感に酔いしれてた。
『 ついてるよ。 』
「 …っ、 」
不意に唇の横に触れた指先。
そのまま平然とご飯粒を口に運んだ姿に、心臓がうるさいくらいにドキドキした。
『 子どもみたいだね。 』
この日の俺は、よくやったと思う。
今と同じように肩を竦めて笑うAの後頭部に手を回せば、簡単に近づく顔。
初めて触れた唇は、想像してたよりもずっと柔らかかった。
「 男なんだけど。 」
『 …じゅ、り…くん、？ 』
動揺して揺れる瞳と、だんだん赤くなる頬。
あ〜ほんと、どこまで可愛いわけ？
「 みぃ、もっかいしていい？ 」
『 え…もっかい？ 』
答えを聞く前に、もう一度唇を重ねれば、きゅっと俺の制服の裾を掴む小さな手と、下がっていく睫毛。
ドラマのワンシーンみたいに、綺麗だった。
この出来事がきっかけで、俺の ' 美井溺愛病 ' は加速していった。
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作者名：moi | 作成日時：2024年3月26日 23時
