早く大人になりたい。 (ページ10)

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──────そろそろ実技試験が終盤に差し掛かってきた。

「今何Pなのか判んない……まぁいっか。」

私は特に苦労もせず、仮想敵(ヴィラン)を何体か倒す事が出来た。

此れも太宰さんや国木田さんとした“特訓”のお陰だ。

「おっおい…あれ………。」

少し休憩しようと思っていたら受験者の一人が怯えたように声を上げた。

気になって其奴の視線の方に目をやると───。

ｽﾞｳｳｩｳｩｩﾝ……

今まで倒してきた雑魚の数倍もでかい敵(ヴィラン)がビルの隙間から姿を現した。

兎に角とてつもなくでかい。

「真坂……あれが例の0Pの“ギミック”。さて、如何しようか……。」

私が其の場に留まり考えている間に他の受験者達は無駄な体力を消耗したくないのだろう───一斉に其の場から逃げ始めた。

まぁ…点数にも加算されないお荷物に時間なんてかけたくないからな。

「倒すか……ん?」

敵(ヴィラン)の直ぐ近くに誰かが居る…。

彼の緑色の蓬髪は……あぁ爆豪君と一緒にいた子か。

突然の敵(ヴィラン)の登場に驚きすぎて腰を抜かして座り込んでいる。

「不味いな……。んっ?未だ誰かいっ……!!?」

彼よりも敵(ヴィラン)の近くに居た女の子は瓦礫に足が埋もれて身動きが取れない状態で居た。

──────此の儘だと、やられる。

慌てて助けに行こうとした矢先、彼(・)は私よりも先に動いていた。

「ほっ蓬髪君……?」

さっきまで怯えていた彼とはまるで別人のような顔で敵(ヴィラン)に向き、走り出した。

走っていく後ろ姿は“ギミック”に背中を向けて逃げる奴等なんかより千倍ぐらい格好良かった。

────────────そして、彼は自らの足に力を込め、、、、

飛んだ。

「すご……。」

一気に敵(ヴィラン)に詰め寄った彼は右手を振りかざし、拳をぶつけた。

ﾄﾞｶﾞｱｧｧｱｱｧﾝ

───────たったの一撃で“ギミック”は力尽きた。

こんな───────敵(ヴィラン)程度なんかに此れほどの力を使うのか。

「「「「おおおおおおおお!!!??」」」

私が一人関心しているなか、受験者の吃驚するほど揃った叫び声が響き渡った。