アバンティーズとほんわかライフ。

アイス ページ5

視点E

「えーいーちゃーんー」

扇風機の前で動画編集をしていると、急に耳元で甘えるような声がして、背中が少しだけ重くなった。
こんなにスキンシップしてくる奴なんて、ツリメかAしかいない。声的に…

「Aか」

イヤホンを外して振り返ると、案の定退屈そうなAが、俺の背中に抱きついていた。

「もう二本目編集してるの？｣
「ん？んー。｣
「んしか言ってないじゃん…。｣

友達の中にも動画投稿に反対する人が多い中、Aはずっと俺達の行動に協力的だった。登録者が50万人を超えた時なんて、ちょっと泣いてたくらいだ。

視界の端に何かうつるなと横を見ると、Aが俺の首に腕を回したまま、アイスをくわえていた。そして俺が編集しているさまを興味深そうに眺めている。

「えいちゃんて器用なんだねえ」
「もっと褒めてもいいよ」
「すごいすごーい！」

耳元で騒ぐので、ちょっとだけうるさいし、髪がふわふわと触れて首元がくすぐったい。

Aは前の家の時や実家暮らしの時から何度も俺達を訪ねてきていたけど、俺達がAの家のすぐ近くに引っ越して新たにシェアハウスをはじめてからというもの、Aもふくめてシェアハウスしているみたいな頻度で俺達にあいに来てくれる。

時折顔は出さないものの動画に出演したり、手伝いなんてやってくれたりして、本当に役に立ってくれている。ただ彼女疑惑が立ったりするのだけは気まずくなるが、当のAが動画で真っ向から否定しやがるので、その噂も大して広がりはしなかった。

アイス→←フォト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す