エイジ ページ14
「あたしはさ、幸せなんだよね」
そこは真夏から切り離されたような部屋だった。閉め切ったカーテンは灼熱の太陽を調整し部屋を薄暗く照らしている。
クーラーの前に寝そべった二人は言葉をかわすこともなくただ寄り添っていた。彼はPCで動画編集をしていたし、彼女はスマートフォンに釘付けになっていたのだ。
あまりに唐突な彼女のその言葉に、お前はいつも本当に唐突だな、と言うタイミングさえ逃してしまったエイジは、Aの黒く透き通った瞳をみると、首を傾げるだけの返事をしてみせた。赤い髪が流れるのを、透明な視線が追う。
エイジの不思議そうな顔を見てAはたいそう満足そうに笑い、口を開く。
「あなたたちと出会えたことが幸せ」
「はぁ〜!? きっしょ! なにお前鳥肌立ったわ」
「だって、とっても大好きだから」
やっぱり唐突な言葉にエイジは顔を歪めると、うわもう、寒い寒いやだやだ、などと言いながら、本当に窓を開けだす。自分の赤くなりかけた顔を窓に向けて、一応ごまかしたつもりだった。久し振りに開けられた窓からはエアコンの冷気が逃げ、かわりに夏の空気と蝉の音、直射日光と紫外線が滑り込んでくる。Aは暗がりに慣れた目を細めると、何もそこまでしなくてもいいのに、と膨れてしまった。
205人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フェザー - 夢主とアバのみんなが喧嘩して4対1になって暴言を吐かれてからのあまあまな仲直りが見たいです! (2018年1月24日 21時) (レス) id: 874f7f8e04 (このIDを非表示/違反報告)
たちょらー(プロフ) - エイジさんか、ツリメさんでほのぼのしたにちじょうふうけいみたいなやつをお願いします! (2017年10月17日 1時) (レス) id: f9c589a444 (このIDを非表示/違反報告)
まりん(プロフ) - いつも楽しんで読んでいます!アバのうち誰かが風邪ひいて夢主ちゃんが看病、治ったと思ったら夢主ちゃんが風邪ひいちゃってアバのみんなから看病してもらう、みたいなのが読みたいです!!分かりづらいかもですがお願いします♪ (2017年10月15日 9時) (レス) id: f79d1c3388 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:出井です | 作成日時:2017年10月7日 15時