アバンティーズとほんわかライフ。

オネツ ページ9

視点E

「言ったじゃん、体壊すから早く寝なって」

38.2℃と出た体温計を見せつけて俺を叱りつけるAはまるでお母さんだ。俺はぶは、と噴き出してベッドに沈みこんだ。
どうも近頃ぼうっとすると思っていたら風邪を引いていたらしい。どおりで。
日頃の不摂生のおかげか、ときどき風邪を引くと長びくのだ。しかもたった四人のメンバーのうち、ひとりが体を壊すってのはアバンティーズにとって大きな痛手であったりもする。Aが怒るのもわかる。

風邪を引いた理由としてはいくつか思い当たる節がある。やはり日頃の不摂生で抵抗力が下がっていたんだと思う、食事も睡眠も適当だった。それに、最近人の多い場所へ出かけるきかいが多かったし。

「だからさぁー、風邪引いたんだったら普通服着ない！？？？」
「だってあちーもん」
「だから風邪ひくんでしょー！？」
「もーいいよー布団はいるしー」

夏になるとほとんど服を着ないで過ごしてるってのもあるかもしれない。
上しか着てなかったり下しか着てないのも多い。だって暑いんだ。自分でやりたくてやっているわけだけど、こうして体調を崩してみるとすこしは後悔するもんだ。

Aはそれを見つけては小さく注意するのだ。なんだかほっとする。実は上裸ないまかなり寒いのだが、もう熱があるとわかった途端服を取りに行くのもだるい。
またAと目があったので、バッと布団にくるまった。
布団越しで、Aの手が頭に乗った。手は冷たい。頭は熱い。体は寒い。でも、暑いのだ。もう暑いのか寒いのかわからない。ただ布団越しの手の温度は心地良い。

「エイちゃん今日子供なわけ？」
「なんか、本当にだりーんだよなー」
「ふーんあっそ」

ぱっと手が離される。あれ、もう行っちゃうのかよ。部屋を出ていく音がした。冷たいやつだ。寝転がっているってのにクラリと視界が歪んだ。昨日までは少しだるいくらいだったのになあ。

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