アバンティーズとほんわかライフ。

カレシ ページ11

視点S


「しんどい」
「でたよリッくんの病み期」
「リッくんあるあるだよね」

リクヲは月一くらいで病むのだ。病むって言っても半ばふざけだけど、それでも時々病んだような言動をするのだ。
普段不満を口にしない男だから、ストレスが溜まっているんだろうと思うし、わざわざ馬鹿にしたりはしない。もともと情緒が安定している方でもない。アルコールが入ると泣いたりもする。もう何年も一緒にいたら慣れたものだ。

こういうふうにリッくんが落ち込んでいるときは放置するに限る。それがこいつにとっても一番楽だろうし、そうしていればいつの間にか治る。それで俺達に余裕があるときは、横に座ってゆっくり話でも聞いてやればいい。

「リッく〜ん」
「なんかあったの？」
「これ…」

リッくんはスマホの画面をツリメに向けた。ツリメはん？とのぞくが直後に表情が固まる。リッくんが明確な訳あって落ち込むなんて珍しいな、なんて思いつつ俺もスマホをのぞいて、そして固まった。

「こ、これは…俺もちょっと死にたいかもしれない…」

そこに写っていたのは金髪の見知らぬ男に抱きつかれて笑っているAの姿だった。

「こいつ知ってるやつ？」
「いやおれはしらない…リッくんは？」
「いや知らない…」

リッくんが画面をスワイプする。Aがツイッターにのせていた画像らしい。二枚目も二人の写真だ。

「てか…この写真見るからに…」

彼氏、だよなあ…。
二枚目はほっぺにキスされて無邪気に笑うA。いやぁ、やめてくれよ！俺達の心の声が一斉に聞こえた気がした。

「なんか、なんで落ち込んでるのかわかんないんだけど、すごい…なんか悲しいんだ…」
「うわ、わかっちゃうなあ…」

リッくんとツリメがが胸を抑えて揃えたかのように同時にふうとため息をつく。なんでだろう。俺も同じような気持ちだ。

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