２３ 出会い頭の印象は割と最悪である ＊闇呼び ページ25
ヴァレンス、ローナと別れたシャーチは一層腹を空かせ獰猛になったチーターを引き連れ、島の中心部──丁度開けた場所へ辿り着いた
後ろからチーターが迫っているのに立ち止まったシャーチ
追い付いたチーターが仕留める為に振り下ろした足を、一切見る事無く片手で軽く受け止め、掴み、そのまま中央の空き地へ叩きつけた
「ニﾞャアンッ！！」
シャーチ｢鳴き声可愛いな｣
背中を強打し、気絶する直前に発せられたチーターの鳴き声に対し、咄嗟に漏れたシャーチの発言
シャーチはそんな本音を押し殺すように口を手で抑えた
シャーチ｢……で？さっきからそこに居るのは誰だ？｣
口を抑えていた手を離し、後ろの樹を睨み付けて言い放つ
パサッ…と葉が１枚落ちた音の後に、そのモノは姿を見せた
空中にフワフワと浮きながら───
｢いやぁ、見事な一撃。凄いねき＿＿｣
言い終わる前にそのトカゲ(?)の頬を掠め後ろの樹を蹴り飛ばすシャーチ。そのスピードと威力はミサイルだ
現に、その樹の左右２，３本から後ろへ一直線、島の果てまでの樹が一瞬で消滅し、新たな道が開拓された
｢み……」
先程までトカゲらしき生物がいた所に、突然現れた青年。その足元には薔薇と桜の花びらが散らばっている
咄嗟に避けたのだろう。頬から血は流れず、代わりに髪が数本ハラハラと散るのを感じながら、目尻に涙を溜めギギギ…と後ろを振り返る
先程まで樹々が生い茂っていた所に見事な一本道が出来ていた
｢え、あ、あの、お、ねぇ、さん？｣
シャーチ｢……申し訳ありません。トカゲかと思って…｣
青ざめた顔を隠さずに謝罪する
普段の彼女なら有り得ない行為であるが、目の前の人…獣だったモノはそんな事知らない
｢と、トカゲ……ね｣
(僕、龍なのにトカゲに見えるのかな....不安になってきた)
震える声で、とりあえず訂正だけした
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作者名：闇呼び＆月姫州 x他1人 | 作成日時：2019年4月12日 23時
