【◇】片想い… (ページ46)

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御幸 side

そして迎えた卒業式当日…

クラスのみんなはAさんが卒業するなんて知らない振りをしていた

卒業生代表挨拶は、我がクラスのAさん

期末テストでトップだった人がするらしい

Aさん、絶対拒否したんだろうな…

でも、うちの担任の先生に丸め込まれたんだろうな笑

Aさんと先生のやり取りが想像できる

答辞を読むAさんは凛としてて、俺の知ってるAさんとは別人だった

卒業式が終わり、各クラスでホームルームが始まる

俺たちのクラスは先生に許可をもらい、卒業式の間に数名は教室に残り準備をした

黒板に卒業おめでとうございますと書いたり、飾り付けをしたり

これは先生を言われたからしたんじゃなくて、クラスのみんなで自然とやろうってことになった

それだけAさんは好かれてたんだと思う

俺らのクラスは卒業式が終わるとダッシュで教室に戻り、Aさんを迎える

教室のドアを開けると驚いた顔のAさん

『えっ？！』

先生「おせーぞ、早く座れ」

静まり返った教室を歩くAさん

そしてAさんにとって最後のホームルームが始まった

本当は先生がこれからの人生、為になる話をするはずなんだろうけど、先生も恥ずかしいのか寂しいのか、いつもの喧嘩腰でAさんには散々迷惑かけられたとか、お前が卒業して清々するとか言ってた

そして、Aさんからクラスのみんなへ一言挨拶するよう言った

『えーっと…急な卒業で、何も報告しないままこの日を迎えてしまってすみません。私は留年してしまいましたが、みんなは留年せず、単位と出席日数には気をつけて学校生活をお過ごしください。クラスに年上の人がいて、色々やりづらかったと思います、ご迷惑をおかけしてすみませんでした。………あと………黒板とか、教室の飾りとか………私なんかの為にありがとうございます。』

言い終わりAさんが席に着くと、教室からは拍手が溢れた

そして、女子からクラスみんなで作ったアルバムを渡したらAさんの目にはうっすら涙が浮かんで、「ありがとう」と優しく微笑んだ

ホームルームが終わるとクラスの女子に囲まれるAさん

別れの言葉を告げたり、一緒に写真を撮ったり…

男子の入る隙間はなかった