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食卓に豚バラ大根と味噌汁、たたき梅きゅうりに筑前煮と間に合せで買ったお惣菜のコロッケとマカロニサラダが並んだ。
私の向かいに蘭くんと竜胆くんは並んで座ると「いただきます」と軽く手を合わせ食べはじめる。
「どうぞ召し上がれ」
蘭くんはいつもと変わらず汁椀を手に取り、竜胆くんはお箸を持ち今日のメインである豚バラ大根を掴んだ。
「っうま!」
「ん、今日も美味いよ」
竜胆くんは豚バラと大根を口に入れるとまるでこどものように目を輝かせ、蘭くんは落ち着いた様子で味噌汁を啜っている。
蘭くんの時も思ったけど、竜胆くんも箸の持ち方や食事の作法が綺麗だなと思う。
話を聞く限りネグレスト気味の家庭らしいがこうしてきちんと2人とも躾られている姿を見ると少なくても幼少時は大事に育てられていたように感じ不思議に思うがあまり家庭の事情に首を突っ込むわけにはいかないな、と思い直し私もたたき梅きゅうりを口に運んだ。
「ごちそうさま」
「はい、お粗末さまでした」
2人とも出した料理を全て綺麗に食べてくれたので空になった食器をシンクに運びながら、我が家の狭いリビングにいる2人を見る。
身長もそれなりに高く図体のデカい男のコが2人いるだけで随分手狭に見える。
「ねえ、蘭くん、竜胆くん。」
2人を呼べば紫の瞳が揃って私を見た。
「ご飯ならいつでも作ってあげるから、次からは君たちの家にしようね」
私の言葉に蘭くんも竜胆くんも賛成してくれた。
といった経緯で、ご飯をご馳走するときは灰谷さんのお宅にお邪魔することに決まったのだがそれと同時に何故かほぼ毎日のように蘭くんか竜胆くんがバイクで会社まで迎えに来るようになった。
そんなことを思い出していれば着いたらしくマンション近くのスーパーの駐車場にバイクを停め、店内に入ると入口のすぐ横で蘭くんが壁にもたれながら手持ち無沙汰に携帯を弄っていた。
「蘭くん」
声をかければ携帯から目を離した蘭くんは心底鬱陶しそうな顔を浮かべこちらを見たが、私と竜胆くんを見ると「お前ら遅ぇぞ」と文句を言いながら嬉しそうに笑った。
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作者名:kinu | 作成日時:2023年11月13日 21時