キールに沈んで (ページ10)

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マネージャーは別の番組の打ち合わせ中だったそうで
巻きで終わった収録に間に合わずあの時楽屋に居なかったらしい

そのままの足で事務所へ戻り、今回の事について協議するらしく
北山さんに何度も頭を下げて行った

後部座席に乗り込み、小さく溜息を付く
あの後何度もうがいしたのに、
なんとなく感覚が残っていて気持ち悪い

こんな時に限って、ガムもフリスクも飴もないし
何でも良いから口をすっきりさせたい

『北山さーん、フリスクとが持ってないですか？』

「んー？かばんの中にあると思うよ」

『ください』

「信号青になったら怖いから、自分で取って」

『ケチ』

「あ？」

信待ちで止まってんだからいーじゃんと思いつつ、
体を前へ乗り出して助手席のかばんを聞く

フリスクは2つあって、
どちらを食べていいのか分からない

くるりと北山さんの方を向き訊ねる

『これって、どっち………は？？？』

一瞬だったけど確かに触れた唇

「どっちでも好きなの食っていいよ
あ、信号変わるから、座って」

「何？もう一回して欲しいの？」

『は！？』

固まって動かない私を見てそう言った彼は、
大きな声で驚く私いを見て楽しそうに笑った

え？何で？
え？今のキスだよね？？

頭の中はもうパニック